研究課題/領域番号 |
16K10379
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 徳雄 北海道大学, 医学研究院, 助教 (80572495)
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研究分担者 |
Tha KhinKhin 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (20451445)
サザランド ケネス・リー 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (70643914)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 陽子線治療 / 放射線治療 / 肝癌 / Radiomics |
研究実績の概要 |
(1) 肝癌患者における治療前画像データ情報と再発の関連性の解析 再発に関するデータを収集するために、北海道大学病院において肝細胞癌に対する陽子線治療とX線動体追跡放射線治療を行った患者を解析した。陽子線治療では2014年12月から2018年3月の期間で43例56病変を対象とし、第61回米国放射線腫瘍学会で発表した("Initial Clinical Outcomes of Real-Time-Image Gated Spot-Scanning Proton Beam Therapy for Hepatocellular Carcinomas". 2019年9月15日-19日シカゴ、米国)。腫瘍サイズ中央値28mm、LQモデルを用いα/β=10とした生物学的実効線量(BED10)の中央値104.9Gy(RBE)、観察期間中央値20ヶ月で2年全生存率が73.9%、2年局所制御率が94.3%であった。X線動体追跡放射線治療は2005年1月から2018年7月の期間で63名74病変を対象とし、第28回日本定位放射線治療学会で発表した(「肝細胞癌に対して動体追跡放射線治療を施行した症例の治療成績 」、2019年6月14日新潟)。腫瘍サイズ中央値20mm、BED10中央値76.8Gy、観察期間中央値20ヶ月で2年全生存率が70.1%、2年局所制御率が89.7%であった。陽子線治療とX線治療とも良好な局所制御を示した。 (2) 線量増加シミュレーションプランニングの施行 陽子線治療後の肝実質変化を陽子線治療計画の段階で予測できるように、剛体と非剛体イメージフュージョンをそれぞれ用いた追加解析方法の検討を行い、引き続きデータ解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1) 当初、陽子線治療を行う肝細胞癌患者数を20名程度を予想していたが、2019年度も8名と2018年度(6名)に引き続き予想を大幅に下回った。 (2) 2015年1月から2018年3月までに陽子線治療を行った肝細胞患者の解析を行った。結果、局所再発率がそれぞれ2年で5%と当初想定していた20%程度の局所再発よりも少なく、再発に関する解析を十分に行えなかった。 (3) 低酸素イメージング製剤であるFMISO-PET画像を検討したが、臨床研究法に対応するため新たな臨床試験の開始が必要となった。2019年1月から2019年6月までの肝細胞癌陽子線治療患者数は2名、X線動体追跡放射線治療患者数は1名であり、十分な患者数が見込めないことや再発例が少ないことからFMISO-PET画像を取得するための研究を断念した。 以上より、進捗状況としては当初の計画よりも遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
(1)引き続きRadiomics 解析に必要な治療前後でのCTやMRI画像データを蓄積していく。第61回米国放射線腫瘍学会に演題登録後も治療成績の解析を進めたところ、演題登録以降に陽子線治療後2年以上経過して複数の再発症例を認めた。これらの再発例を元にして低酸素イメージング画像の解析の代わりとして治療前MRI画像を解析することを検討している。再発症例数が少なく、データ解析に不十分な場合には、X線治療の再発症例とをあわせて研究を進める予定である。また、引き続きCTやMRI画像データをもとにを行っていく。 (2)陽子線治療後の肝実質変化に関して引き続き症例を追加し、剛体と非剛体イメージフュージョンも用いて追加解析を行う。 (3)2019年度に学会発表した肝細胞癌の陽子線治療とX線動体追跡放射線治療の臨床成績に関する論文化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由) 2019年度はPETの薬剤費用に未使用分が発生した。 (使用計画) 論文作成に関連する英文校正や論文投稿料および学会参加費に使用する予定である。
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