研究課題/領域番号 |
16K10390
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
溝脇 尚志 京都大学, 医学研究科, 教授 (90314210)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 前立腺癌 / 強度変調放射線治療 / 寡分割照射 / 定位照射 |
研究実績の概要 |
限局性前立腺癌に対して、DWA-VMAT 照射によるSIBプランではない通常のプランでの加療を継続し、H30年3月までに累計69例を加療した。現在までに、Grade 3以上の急性期および晩期有害事象の発生は認められていない。また、前基盤研究C(H24-27年:24591838)において実施した低・中リスク前立腺癌に対する54Gy/15fr.の寡分割強度変調放射線治療のパイロット臨床試験に登録した患者の経過観察を継続し、2次評価項目である2年PSA制御率が95.6%、2度以上の晩期有害事象は0%と、良好な治療結果であることを確認し、ASCO-GUにおいて報告した。また、AMED革新的がん医療実用化事業で開発したDWA-VMAT照射に対する物理QA方法(Radiat Oncol. 2018 Feb 14;13(1):27.、Phys Med. 2017 Nov;43:107-113.)を用いて検証・確認した結果、DWA-VMAT照射の機械的精度は極めて高く、線量誤差もおおむね1~2%未満であった。 前基盤研究C で開発した、54Gy/15分割の寡分割定位IMRT治療計画プロトコールをベースとし、高リスク前立腺癌の主腫瘍部分に対して57Gy15分割の線量増加を行うSIB DWA-VMAT治療計画プロトコールの検討を継続した。その結果、T3b症例を除く高リスク例において臨床上妥当な計画立案が可能であるプロトコールを最終決定し、放射線治療医、医学物理士それぞれ1名による独立検証によって、実行可能性に問題がないことを確認した。この検討結果をもとに、高リスク前立腺癌に対する「高リスク前立腺癌に対する腫瘍内ブースト併用高度寡分割ダイナミックウェーブアーク照射の安全性評価のためのパイロット臨床試験」を立案して実施計画書一式をほぼ完成し、院内倫理委員会への申請準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画どおり、本年度においてDWA-VMATの日常臨床における恒常的使用体制を確立し、医学物理検証によってその正確性(誤差の小ささ)を検証・確認した。また、54Gy/15分割の寡分割照射の低・中リスク前立腺癌に対する有効性と安全性を確認・報告した。 さらに、高リスク前立腺癌の主腫瘍部分に対して57Gy15分割の線量増加を行うSIB DWA- -VMAT治療計画プロトコールを確立し、実臨床に展開可能であることを検証するとともに、これを盛り込んだ高リスク前立腺癌に対する「高リスク前立腺癌に対する腫瘍内ブースト併用高度寡分割ダイナミックウェーブアーク照射の安全性評価のためのパイロット臨床試験」を立案して実施計画書一式の作成をほぼ完了できた。しかしながら、立案したSIB DWA- -VMAT治療計画プロトコールの実行可能性に対する独立検証と臨床研究法の交付に伴う倫理委員会の規定強化に対する対応に時間を要した結果、倫理委員会へのプロトコール提出が2018年4~5月にずれこむ見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に作成した、高リスク前立腺癌に対する「高リスク前立腺癌に対する腫瘍内ブースト併用高度寡分割ダイナミックウェーブアーク照射の安全性評価のためのパイロット臨床試験」の実施計画書を京都大学医の倫理委員会に提出して承認を得た後に、本臨床試験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度使用予定研究費の端数を使いきれなかったが、次年度予算と合わせてに適正に執行する予定である。
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