研究課題
本研究の主項目である前立腺癌に対する定位照射は、平成28年度の診療報酬改定により健康保険の対象となり、一般診療の範疇に含まれることになったが、依然国内の施設においては実施施設は限られており、普及は十分とは言えない。本研究は当初保険収載を目指して、その基礎的なデータを収集するべく開始しており、先行研究としてそのデータは全国から注目されるものとなっている。平成28年度は臨床研究への症例集積を継続し、途中経過を平成28年4月日本医学放射線学会、10月日本泌尿器腫瘍学会、癌治療学会、平成29年3月サイバーナイフ研究会の各学会にて報告をした。また、放射線治療の代表的な教科書である「がん放射線療法2017」にて、前立腺癌に対する定位照射について執筆を担当した。平成29年3月にて症例集積は75例中61例に達した。35Gy、37.5Gy、40Gyを連日5日間の5分割で照射する。各群25例ずつの線量増加試験としており、現在第一群が経過観察期間中央値2年となり、臨床研究の主評価項目について検討を開始している。また2群への線量増加に伴い、直腸有害事象の増加が観察されているが、いずれも軽微であり現時点ではプロトコールに定める試験中止の基準には触れずに進捗できている。今後、有害事象に関する線量体積ヒストグラムの詳細な解析、また治療後の定期経過観察時に取得している患者申告によるQOL調査票の解析による本治療法の有用性を評価する。試験結果に基づき、本邦における推奨される線量、線量制約などを同定していく。
3: やや遅れている
平成28年度より健康保険の適応となったが、患者、医療者ともに十分浸透しておらず、患者集積が当初の計画よりも遅れている。解析が可能なデータについては随時進めている。
引き続き症例の集積に努める。臨床研究の計画書に予定された解析を進め、国内の臨床家に向けて結果を公表していく。
次年度に学会等で使用予定であり、本年度は他の研究費を用いて物品その他に使用したため。
他の研究費と調整のうえ、使用額を研究機関のなかで効率よく使用していく予定である。
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