研究課題
2018年度は、前立腺癌に対する高線量率組織内照射単独療法の過去の治療成績を学会発表および論文化するとともに、現在進行中の多施設共同研究「前立腺がんに対する高線量率組織内照射単独放射線療法の安全性と有効性を評価する多施設共同検証試験」(研究代表者:国立がん研究センター中央病院 伊丹純)を実施した。具体的には、国内発表1回、海外発表2回、英文論文5編を発表した。内、国内発表は日本泌尿器科学会にシンポジウムの演者として招待されたものであり、海外発表の1件は放射線治療の分野でASTROと並んで世界的に最も権威のある学会であるESTROのシンポジウムに演者として招待されたものであり、もう1件も中国の放射線腫瘍学会に招待講演されたものである。査読のある英語論文を5編出版し、その内2編はRadiother Oncol誌において出版された。同誌はInt J Radiat Oncol Biol Phys誌とならんで放射線治療の分野では世界で最も権威のある雑誌である。進行中の臨床試験について、本年度は臨床研究法移行の手続きが必要であった。国立がん研究センター等の施設で、これまで計16件の登録があった。当院でも臨床研究法に基づき倫理委員会の承認を得て、テンプレートなどの整備が完了し、現在は第1例目の候補患者と試験参加につき相談している状況である。引き続き臨床試験の遂行を継続するとともに、これまでの成績を適切な機会に発表する。
2: おおむね順調に進展している
現段階で過去の本治療の成績について多数の論文発表を行っており、招待講演を内外から依頼されるなど注目度も高い。前向き臨床試験は計画から実施の段階に移行しており、症例登録を順調に進めている状況である。全体として研究は概ね順調に進展していると考えられる。
今後は、進行中の臨床試験について、症例登録をできるだけ加速して速やかに予定の100例に到達するよう努力する。また、平行して、本治療を標準治療として普及をしやすくするため、当院の方法は2回刺入とし、1照射ごとに全身麻酔下にすべての処置が完結して患者および当科以外の医療従事者には会陰部の針刺入がイメージされないようにして、本治療への恐怖感を減らす工夫を始めた。これら技術的な工夫も継続して本治療を発展させる。並行して、これまでの成績等をを適切な機会に適宜発表する。
(理由)2019年度には成果発表の機会が増加することが予想され、一定の経費が必要となることから、2018年度経費の一部を次年度に繰り越すことが適当と判断した。(使用計画)本研究の成果発表を精力的に行い、その際に2019年度経費とともに2018年度経費からの繰越額を使用する。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
Radiother Oncol
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