2021年度は本研究の最終年度として、前立腺癌に対する高線量率組織内照射単独療法の過去の治療成績を学会発表および論文化するとともに、現在進行中の多施設共同研究「前立腺がんに対する高線量率組織内照射単独放射線療法の安全性と有効性を評価する多施設共同検証試験」(研究代表者:国立がん研究センター中央病院 井垣 浩)を実施した。 具体的には、英文論文5篇、和文論文4篇を出版し、口演発表を3回行った。英文論文の1篇は、前立腺癌に対する高線量率組織内照射単独療法の開発の歴史を研究代表者の視点から広く世間一般の方々に啓発する意図のものであり、SNSを含め一般向け媒体に広く拡散された。口演発表の内2つは主に泌尿器科医向けに本治療を含めた前立腺癌の放射線治療について講演したものであり、本治療をはじめとした線量集中性の高い放射線治療による局所制御率の向上と有害事象の低減について解説した。 進行中の臨床試験について、国立がん研究センターをはじめとする多施設にて累計87人の登録があった。当院からも19例登録している。2022年度中に100名の登録完了予定である。当院では、2回刺入の1回ごとに全身麻酔下にすべての処置が完結する方法を導入した。これにより、患者や病棟スタッフの本治療への負担を軽減することに成功し、本治療の普及にさらに貢献できた。口演発表の1つは某大学にて本治療を導入するにあたっての教育的な講演を行ったものであり、本治療の普及につながるものである。
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