研究課題/領域番号 |
16K10400
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
杉江 愛生 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80509258)
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研究分担者 |
岩田 宏満 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40611588)
荻野 浩幸 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60315885)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 亜致死損傷の回復 / 潜在致死損傷の回復 / single cell / spheroid |
研究実績の概要 |
現段階での我々の研究結果につき、途中の段階ではあるが、下記論文にて報告した。 Recovery from sublethal damage and potentially lethal damage : Proton beam irradiation vs. X-ray irradiation. Hashimoto S, Sugie C, et al. Strahlenther Onkol. 2018 Apr;194(4):343-351. doi: 10.1007/s00066-017-1223-9. Epub 2017 Oct 16. single cellにおいては、2種類の細胞系および2種類の分割回数・照射線量を用いた亜致死損傷の回復(SLDR: sublethal damage repair)の評価実験にて、いずれもX線照射後に比して陽子線照射後において亜致死損傷の回復(SLDR)の抑制がみられた。しかしながら、2種類の細胞系を用いた、plateau-phaseの細胞を使用した潜在致死損傷の回復(PLDR: potentially lethal damage repair)の評価実験では、X線照射後と陽子線照射後においては潜在致死損傷の回復(PLDR)の程度に明らかな差はみられなかった。また、free radical scavengerであるdimethyl sulfoxide (DMSO)を用いた間接効果の評価実験では、陽子線照射に比しX線照射では間接効果の割合が高い傾向がみられた。 実験・研究は引き続き進行しており、γH2AX抗体染色を用いたアポトーシス・細胞死の評価も並行して施行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究の実験を予定している陽子線治療施設では、陽子線治療装置は臨床使用だけでなく他の基礎的検討も多くなされており、限られた照射時間のなかでは実験の進行に限界がある。さらに今年度は陽子線治療施設および当大学の人員不足による臨床業務の増加と研究時間の制限も重なっている状況である。当該研究も順番を待って実験を施行していく予定となっているが、混雑と時間制限のため予定より進行は遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、当該研究につき陽子線治療施設・当大学での打ち合わせやメール会議を重ねつつ、各種予備実験・関連実験を施行して、spheroid cellの亜致死損傷の回復(SLDR)および潜在致死損傷の回復(PLDR)を評価検討していく。また、生細胞タイムラプスイメージングシステムIncucyteを用いた陽子線照射後とX線照射後のspheroidの経時的変化の観察と比較検討や、γH2AX抗体染色・トリパンブルーアッセイなどを用いたアポトーシス・細胞死などの比較、Fucci・Cell-Clock Cell Cycle Assay Kitなどによる細胞周期のモニタリングも随時施行していく。 上記については、陽子線治療装置の限られた照射時間と使用機会を最大限に利用して進行をはかっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のとおり、陽子線治療施設の混雑と人員・時間不足のため予定より研究の進行が遅れているため、助成金の使用も予定より遅延しているため次年度使用額が生じている。 引き続き当初の予定どおり、各種予備実験・関連実験、spheroid cellの亜致死損傷の回復(SLDR)および潜在致死損傷の回復(PLDR)の評価、また、生細胞タイムラプスイメージングシステムIncucyteや、γH2AX抗体染色・トリパンブルーアッセイなどを用いたアポトーシス・細胞死などの比較、Fucci・Cell-Clock Cell Cycle Assay Kitなどによる細胞周期のモニタリングなどを施行する予定であり、それに次年度使用額を充てる予定である。
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