研究課題
定位放射線治療を含む先進的放射線治療を標準治療として確立するためには、多施設共同臨床試験による科学的な評価が必須である。初発孤立性肝細胞癌に対する定位放射線治療は手術、RFAに比肩しうる高い有効性が強く示唆されているものの多施設共同臨床試験による評価がなく標準治療にはなっていない。本研究は定位放射線治療が標準治療となりうるか多施設共同臨床試験により初めて検証することを目的とする。本試験では放射線治療の品質保証により質を担保し、肝細胞癌に対する定位放射線治療技術の向上および標準化を図り、今後の臨床研究基盤の確立も図る。本研究により定位放射線治療の有効性が検証されれば、侵襲の高い治療が困難である多数の高齢がん患者に多大な恩恵となる。本研究では、参加施設のIRB承認、UMIN臨床試験登録を経てすでに症例登録を開始している多施設共同臨床試験を実施する。Primary endpointは3年生存割合、症例登録期間3年、追跡期間は登録終了後3年、総研究期間6年のデザインであり、研究期間内に症例登録を完了するとともに、治療経過および追跡情報を収集する。平成29年度は症例登録および治療後の経過観察を継続した。これまでに31例が登録されている。参加施設は1施設を追加した。また年2回の参加施設を集めた会議を開催し、登録症例のモニタリング、増悪と局所制御に関する中央判定、放射線治療品質保証として登録症例の治療計画の確認、等を行った。
3: やや遅れている
現在まで、予定登録数60例のうち31例が登録されているが、登録ペースが予想を下回っている。参加施設を1施設追加したがさらなる施設内の周知、および学会発表による定位放射線治療の認知度向上に努めるとともに、さらに参加施設の追加を考慮することにより登録ペースの向上、登録推進を図る。
平成30年度の計画:症例登録および治療後の経過観察を継続する。今後引き続き施設内で一層の周知および学会発表により定位放射線治療の認知度向上に努めるとともに、さらに参加施設の追加を考慮することにより登録ペースの向上、登録推進を図るが、登録状況により登録症例数の再検討を考慮する。参加施設を集めた会議を開催し、登録症例のモニタリング、増悪と局所制御に関する中央判定、放射線治療品質保証として登録症例の治療計画の確認、等を行う。また、欧米の臨床試験グループ会議ないし国際学会に参加し、肝癌に対する定位放射線治療および放射線治療の品質保証に関する最新の情報収集を行う。
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Radiother Oncol
巻: 125 ページ: 398~404
10.1016/j.radonc.2017.10.012