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2018 年度 実施状況報告書

低酸素環境下のがん幹細胞をターゲットとした放射線増感研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K10402
研究機関順天堂大学

研究代表者

笹井 啓資  順天堂大学, 医学部, 教授 (20225858)

研究分担者 田部 陽子  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (70306968)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードがん幹細胞 / 低酸素放細胞射線増感 / sulfasalazine / 17-DMAG / Hsp90 / 低酸素細胞
研究実績の概要

平成30年度は以下の2点を中心に研究を行った。
Sulfasalazine放射線増感作用を3種類のヒト由来腫瘍細胞 U251、HSC-2および HT1080を用いてin vitroで検討した。U251 および HSC-2 は CD44vを発現し、HT1080は発現していない。放射線増感効果はコロニー形成法を用いて算定した。低酸素状態は酸素濃度は0.5%、照射前4時間および照射中低酸素状態とした。この条件での酸素濃度約0.5%であり、酸素増感比はU251 細胞に対して1.8であった。1 mM sulfasalazine 24時間暴露によりU251細胞はわずかに増殖抑制が認められた。低酸素細胞に対して増感比 1.4 と放射線増感効果を認めたが、一方、常酸素細胞に対しては増感比0.91と増感効果を認めなかった。次にHSC-2および HT1080細胞について同様の検討を行ったが、明らかな増感効果は認められなかった。 SulfasalazineによるxCTの抑制により低酸素状態のU251細胞に対して増感効果を認めたが、常酸素状態U251細胞、低酸素状態のHT1080 およびHSC-2 cellsに関して効果を認めなかった。
前年度から引き続きHsp90阻害剤17-DMAGの低酸素増感効果に関しても追加研究を行った。HeLa、HT1080および HSC-2を用いた。低酸素状態は上記研究と同様に行った。100 nM 17-DMAG 24 時間暴露により常酸素状態では放射線増感効果は認められなかったが、HeLa および HT1080では低酸素状態で高い増感効果を認めた。17-DMAGは細胞周期には影響せず、 Hsp90を有意に抑制していた。HT1080細胞ではHIF-1aを抑制したが、一方、増感効果を示さなかったHSC-2細胞ではHIF-1a発現を亢進させた。Hsp90は低酸素増感剤の新しい標的になる可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロニー法を用いた放射線増感効果に関する研究は順調に推移し、SulfasalazineおよびHsp90阻害剤17-DMAGの低酸素増感効果が明らかに示された。また、その効果は細胞依存性であることも判明した。
上記薬剤の作用機序および細胞依存性の分子メカニズムが重要である。本検討を行う予定の研究協力者が体調不良で、ウエスタンブロット法を中心とする研究が遅れている。最近、体調が改善しつつあり、次年度の研究が期待される。

今後の研究の推進方策

ウエスタンブロット法を中心とした放射線増感効果のメカニズムを中心に担当する研究協力者の体調が回復し、現在Sulfasalazineの作用メカニズム、17-DMAG作用の細胞間差異に関して研究中である。
なお、17-DMAGに関しては論文投稿中、Sulfasalazineに関しては国際学会でのポスター発表が採用され、発表予定である。

次年度使用額が生じた理由

放射線増感効果の分子メカニズム担当の研究協力者が体調を崩し、研究が中断したため、研究が遅れた。また論文投稿に際して、追加研究を求められた。
現在は回復し、ウエスタンブロット法を中心に研究を行っている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 潰瘍性大腸炎治療薬Sulfasalazineによる低酸素細胞放射線増感効果2019

    • 著者名/発表者名
      水野利恵 笹井啓資
    • 学会等名
      第21回癌治療増感研究シンポジウム
  • [学会発表] Hypoxic radiosensitizing activity of Sulfasalazine, an inflammatory bowel disease medicine2019

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Sasai, Rie Mizuno
    • 学会等名
      61st Annual Meeting, the American Society for Radiation Oncology
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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