研究実績の概要 |
治療室内CT画像を用いて、治療期間中の腫瘍体積変化、位置変化量を視覚化・定量化し、適応放射線治療(ART)の介入時期を示す指標を明らかにする臨床研究を行った。まず2015年以降two-step法IMRT (70Gy/35回)と同時併用化学療法を施行された中咽頭癌10例を対象に遡及的検討を行った。Two-step法IMRTでは50Gy以降照射野縮小をしている。そこで照射範囲が同一である5週目(day29)までの治療室内CTを検討した。治療計画用CTと週1回の治療室内CT(day1, 8, 15, 22,29)を用いた。治療計画用CTを治療室内CTへ非剛体変形(DIR: deformable image registration)させた。変形したCTをもとに再計算を行い、線量分布を計算した。 Day1の治療室内CTでの値を100%とすると、アイソセンター面での体輪郭面積はday1,8,15,22,29で100%,97%,97%,96%,96%と減少傾向であった。Day22の時点で10人中5人に5%以上の変化が見られた。一方、脊髄の最大線量は100%, 101%, 102%, 101%, 104%と増加傾向にあり、Day22の時点で8人(80%)に5%以上の変化が見られた。体輪郭面積と脊髄最大線量には逆相関関係(r=-0.47)が見られた。一方、標的体積への線量評価であるD2, 50, 98は変わりなかった。本検討によりday22もしくはday29にてアイソセンター面での体輪郭面積に5%以上の変化が生じている際は脊髄線量が許容値を超える可能性があり、再治療計画の必要性があることが判明した。また、これまで治療室内CTは全照射範囲が撮影されていなかったため、撮影範囲の上下端では臨床上許容できない変形が起こり、かつ線量計算にもずれが出ることが分かった。
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