研究課題
頭頸部扁平上皮癌における網羅的遺伝子解析と、放射線治療感受性の相関について、検討を行うため、まずは一連の予備実験を行った。頭頸部扁平上皮癌位おいては、とくに、HPV関連がんが放射線感受性が良いことが知られており、HPV関連がん(中咽頭がん)における遺伝子変異解析と、HPV関連遺伝子の発現の相関について検討することとした。実臨床に還元しうるデータをえるため、実際の臨床症例から腫瘍検体を採取し、解析を行う方針とした。実際の生検材料を用いることは、あらたな生検を行うことになり、侵襲性が問題となると予想されたことから、患者の唾液や血液から、腫瘍特異的遺伝子を抽出して検討を行う方針とした。まず、唾液中の腫瘍特異的遺伝子を抽出することとしたが、放射線治療中のそれらの増減を図ることで、治療感受性の多寡を検討することとした。実際の症例からの検体採取に先駆け、院内倫理審査委員会に前向きの観察研究を行う上での研究倫理審査申請を行い、許可を得た。2016年から2017年にかけて、合計11名のHPV関連中咽頭がん患者より、試料(唾液並びに血液)を採取し、唾液中の腫瘍特異的遺伝子の網羅的遺伝子解析ならびにHPV関連遺伝子の検討を行った。腫瘍特異的遺伝子であるHPV E6、E7については、治療経過中に連続して採取可能であった9例中7例において、治療開始前と比較して治療経過中40GYで著明に減少していた。血液中のHPV関連遺伝子は、唾液に比較して変化に一貫性が乏しい傾向があった。網羅的遺伝子解析については、ライブラリ作成が終了し、解析の結果、TP53やPI3Kなど、唾液中からも頭頸部扁平上皮癌の発がんに関与すると考えられている遺伝子変異の検出が可能であった。今後、変異の定義における閾値設定の調節を進めて行く予定である。
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