研究課題/領域番号 |
16K10415
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
真砂 勝泰 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (80338160)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / RNAシーケンス / 薬剤耐性 / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
非小細胞肺癌症例における免疫チェックポイント阻害剤が2017年現在、手術・抗がん剤・放射線治療に続く新たな治療手段として標準治療として位置付けられるようになった。しかし、効果予測因子は明らかとなっておらず、医療経済的にも免疫チェックポイント阻害剤の効果予測因子を解明することは重要な課題であると認識されている。 本研究は、放射線治療が腫瘍細胞に及ぼす影響をPDL1経路に関して検討することを目的としている。術前に放射線化学療法を施行された症例の治療前検体と手術検体を比較することで、腫瘍細胞にDNA損傷ストレスが生じた場合に、PDL1の発現が変化するかについてヒト検体を持ちて検証するものである。 初年度は、ペア検体のPDL1の発現を免疫染色にて評価し、放射線化学療法により腫瘍細胞におけるPDL1の発現が低下することを確認し、Anti Cancer Research誌に上梓した。同時にRNA seqを開始し、解析を並行して行った。 次年度では、RNA seqの解析は免疫チェックポイント阻害剤が著効した症例と効果を認めなかった症例で施行し、発現パターンの相違を検証した。その結果、いくつかの候補遺伝子が特定されたが、放射線照射前後での解析では有意な変化を認めなかった。 現在、5症例の放射線照射前後のRNA及びDNAを抽出済みであるが、放射線照射後で腫瘍細胞の残存量の多い症例のさらなる集積を行っている段階である。同時に、免疫チェックポイント阻害剤の耐性症例におけるRNA seqなども施行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属施設変更の為、研究を実施できる期間に制限が生じたため。 また、質の良いRNA seqの施行のために、RNA preparationを検討する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
免疫チェックポイント阻害剤の効果の違いによるトランスクリプトーム解析で発現に変化の見られる遺伝子群を、薬剤耐性となった症例で検討する予定である。 また、放射線治療の既往にまで対象症例を広げて症例数を増やし、治療前後での発現の変化を解析予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前所属施設である先端医療センターが、2017年10月に閉院となり、研究施設も2017年4月で閉鎖となった。2017年7月に、愛知県がんセンターへ所属施設が変更となり、研究継続の体制構築及び症例集積に期間を要した。
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