研究課題
近年肺移植数は著明に増加しているが、肺移植後5年生存率は55%と長期予後は必ずしも良くない。長期予後を悪化させる主要因は bronchiolitis obliterans syndrome(BOS)と呼ばれる肺移植後慢性拒絶反応であり、予後改善のためBOSの制御が必須である。一方、IL-17はリンパ新生(lymphoid neogenesis)を伴った慢性炎症において炎症性細胞からcytokineやchemokineの産生を誘導する因子として注目されている。BOSを来した肺ではlymphoid neogenesisの形成とそれに引き続く繊維化があり、IL-17を介してlymphoid neogenesisを制御することで、BOSを抑制することを目的とした。ヒト肺移植後慢性拒絶反応であるbronchiolitis obliterans syndrome(BOS)の病態は、 肺内で生じるリンパ新生(lymphoid neogenesis)と 細気管支の線維化による気道閉塞である。この病態のモデルとして、ドナーの気管をレシピエントの肺内に移植するマウス肺内気管移植モデルを使用した。IL-17を産生するTh17細胞を抑制するものとしてabataceptを用いて、肺内気管移植されたレシピエントマウスを治療し、移植気管の閉塞、lymphoid neogenesisの状態を検討し、IL-17阻害剤がBOSに対する新たな治療薬となりえるか検討した。移植気管周囲のlymphoid neogenesisを計測したところ、control群に比較してIL-17阻害剤による治療を行なった群で有意に抑制された。したがって、BOSによる気管支周囲のリンパ新生lymphoid neogenesisを抑制し、IL-17阻害剤が新たなBOSの治療薬の候補となることが示された。
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