研究課題
本研究においては、Nuclear factor-kappa B(NF-κB)活性の抑制による肝胆膵悪性腫瘍に対する抗腫瘍抑制効果、臓器移植後の免疫抑制と免疫寛容、また、NF-κB とcostimulatory signalとの関連性の解明に基づいた免疫チェックポイント分子を標的とした臨床応用をテーマとしている。現時点では、肝胆膵悪性腫瘍のなかでも手術、局所焼灼術、肝動脈化学動脈塞栓術、肝動注療法、ソラフェニブなどの分子標的治療薬といった種々の治療法により、再発に対しても繰り返し治療が選択可能である肝細胞癌に注目し、東京医科歯科大学肝胆膵外科における肝細胞癌再肝切除施行症例、局所焼灼術後肝切除施行症例を対象として、臨床病理学的特徴の検討を行った(第28回日本肝胆膵外科学会学術集会、JDDW2017で発表)。再肝切除症例では初回肝切除時の分化型、再肝切除時の門脈侵襲、胆管侵襲、ミラノ基準が、また、局所焼灼術後肝切除施行症例においても分化型、門脈侵襲、胆管侵襲が予後規定因子となっていることを明らかにした。さらに肝細胞癌手術施行症例の検体を免疫チェックポイント分子であるPDL1抗体にて免疫染色を行い、前述の分化型、門脈侵襲、胆管侵襲も含めた臨床病理学的因子も含めて検討、PDL1陽性が門脈侵襲、胆管侵襲とともに予後規定因子のひとつであることを同定、これらの結果を踏まえて、肝細胞癌術後患者の新規予後予測スコアリングモデルを構築した(未発表)。
3: やや遅れている
肝細胞癌患者の臨床病理学的解析をNF-κBのin vitroの実験の前に先んじて行っているため。
今後の研究の展望は、肝切除や局所焼灼療法といった肝細胞癌前治療の違いによる、前述の新規予後予測スコアリングモデルのさらなる検討を進めながら、NF-κBのin vitroの実験を進めていく予定である。
in vitroの実験で予定していた物品の購入が当初の予定より少なくなったため。
前年度に予定していたが実施できなかった実験に使用予定。
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