研究課題
本研究においては、NF-kB活性抑制と免疫チェックポイント分子を標的とした肝胆膵悪性腫瘍に対する抗腫瘍抑制効果、臨床応用を目標とし、肝細胞癌、大腸癌肝転移症例の検討を行った。肝細胞癌は手術、局所焼灼術、肝動脈化学動脈塞栓術、肝動注療法、ソラフェニブなどの分子標的治療薬といった種々の治療法が存在するが、東京医科歯科大学肝胆膵外科、太田西ノ内病院外科における患者を対象に臨床病理学的特徴の検討を行った。再肝切除症例では初回肝切除時の分化型、再肝切除時の門脈侵襲、胆管侵襲、ミラノ基準が、また、局所焼灼術後肝切除施行症例においても分化型、門脈侵襲、胆管侵襲が予後規定因子となっていることを明らかにした。さらに肝細胞癌手術施行症例の検体を免疫チェックポイント分子であるPDL1抗体にて免疫染色を行い、前述の分化型、門脈侵襲、胆管侵襲も含めた臨床病理学的因子も含めて検討、PDL1陽性が門脈侵襲、胆管侵襲とともに予後規定因子のひとつであることを同定、肝細胞癌術後患者の新規予後予測スコアリングモデルを構築した。また、近年、大腸癌に対する化学療法の進歩に伴い、大腸癌肝転移に対する術前・術後補助化学療法がトピックになっているが、同様の手法にて、太田西ノ内病院外科大腸癌肝転移切除例における臨床病理学的検討を行い、肝切除が唯一の根治を望める治療法であること、周術期化学療法と肝切除の併用療法が肝切除単独よりも有効であること、大腸癌肝転移患者全体の治療成績向上に肝切除率が寄与していることを明らかにした。
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