研究課題/領域番号 |
16K10423
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小池 聖彦 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (10378094)
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研究分担者 |
山田 豪 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (30467287)
岩田 直樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00719247)
丹羽 由紀子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50746401)
藤井 努 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (60566967)
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10345879)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食道癌 / EMT / 胸管 |
研究実績の概要 |
これまで研究代表者らは、食道癌における"tumor budding"の臨床的意義を報告し、またEMTの代表的マーカーであるE-cadherinとvimentinのmRNA発現比から算出される「EMT status」とtumor buddingの相関についても報告してきた。これらの成果をもとに、下記の研究計画を立案した。 (1)食道癌切除検体を用いた「Hybrid EMT」の臨床的意義の検討 (2)胸管内リンパ液中における微小癌細胞同定手技の検証 (1)食道癌切除検体を用いた「Hybrid EMT」の臨床的意義の検討:食道癌患者の血液サンプルを用い、「Hybrid EMT」のマーカーとなりうるmiRNA の解析を行った。既知であるEMT status別に、それぞれ4検体、計8検体に対して、高性能DNAチップ基板3D-Geneを用いてmiRNAの網羅的解析を施行し、候補遺伝子を同定した。さらに、教室の食道癌切除血清検体111例を用い、上記の候補miRNAにつき定量PCRにて測定した結果、TGF-βシグナルの調節因子として報告されているmiR-193bが有力な候補であることが判明した。 (2)胸管内リンパ液中における微小癌細胞同定手技の検証:昨年度は、胸管内リンパ液における微小癌細胞を用いた実験を試みた。食道癌手術中に胸管からリンパ液の回収を行い、微小癌細胞の同定が、末梢血循環腫瘍細胞 Circulating Tumor Cells (CTCs)の検出方法であるEpCAM (Epithelial cell adhesion molecule; 上皮細胞接着分子)のモノクローナル抗体を用いた免疫磁気的手法で実施可能かどうかを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食道癌切除検体を用いた「Hybrid EMT」の臨床的意義の検討については、教室で保有している食道癌細胞株を用い、網羅的解析により候補miRNAがピックアップされ、さらに、臨床検体においてもその有用性が示唆された。このステップにおいては極めて順調に進行した。 一方、本研究で最も困難が予想された、胸管内リンパ液中における微小癌細胞同定手技の検証についてであるが、食道癌術中に胸管内リンパ液を採取する手技の確立に難渋している。採取手技、サンプル量、クオリティの問題など、現在試行錯誤の段階である。従って、本年度では十分な検体が確保できなかったため、本ステップの微小癌細胞同定手技の検証が不十分のままである。また、術前治療による修飾のない胸管内リンパ液検体の集積が必要であるが、昨今は術前治療を行う症例が多くなっているため、サンプル収集にも難渋している。 さらに、本年度は「Hybrid EMT」をマウスモデルにより検証し、終了する予定であったが、マウスモデルの作成に時間を要しているため、次年度も実験を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、胸管内リンパ液中における微小癌細胞同定手技の検証を行う必要がある。食道癌術中の胸管内リンパ液を採取する手技の確立については、食道チームと採取方法につき再度協議した上で、採取手技、サンプル量、クオリティの問題などを解決する予定である。また、術前治療による修飾のない胸管内リンパ液検体の集積が必要であるが、なるべく症例の取りこぼしのないように配慮する。 「Hybrid EMT」をマウスモデルにより検証する実験については、基礎研究グループからのアドバイスも頂き、結果が出せるように次年度も実験を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた、胸管内リンパ液中における微小癌細胞同定手技の検証について、前述の通り十分な検体が確保できなかったため、本ステップの微小癌細胞同定手技の検証が遅れている。また、マウスモデルの作成も遅れている。 次年度も引き続き検体の採取を続け、管内リンパ液中における微小癌細胞同定手技の検証を続けていくため、そちらに使用する。また、遅れているマウスモデルの作成にも使用する予定である。
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