研究実績の概要 |
我々の開発したHDACi を含むdiiferentiated medium を用いてInsulin-producing cellの分化誘導・培養を行うが、この際、市販の培養基材を含む4 群に分け、分化誘導実験を行った。予備実験においてconpound Xによって培養されたIPCは非常に分化良好であり、他基材と比較する必要が感じられなかったため、当compound Xのありなしのみ(すなわち通常培養法:2次元 vs 3次元)で分化誘導実験を行うこととした。その結果、compaund X群はControl群(通常培養群)に比して培養期間を有意に減少し(P<0.05)、また培養効率も有意に良好であった。糖応答性(Stimulation Index:SI)も3.1と非常に良好であった。免疫組織学的検討でも、作成されたIPCsはインスリンに強く染色され、機能的β細胞様集塊であることが示唆された。各Stepにおいて、Pdx1、Ngn3、NeuroD1、Ptf1a、inslin1のmRNA発現を確認し分化状態の評価を行った。その結果、通常培養群と比して、Compaund X群が各段階におけるmRNAの発現が加速され、Step 1,Step 2共に培養期間の短縮が得られるという知見が得られた。それぞれ経時的(Day 1,Day5, Day7, Day 10, Day14, Day20)でMorphology(Dithizon染色)評価、viability計測(FDA/PI染色)、各種表面マーカー(Insulin、PP、Glucagon、Somatostatin)を用いて細胞特性(monocolonality/polycolmality)検討および糖負荷によって評価を行うと、compaund X群において、Cell qualityおよび機能(SI)ともに有意差を持って良好な結果であった。 なお、in vivo評価として得られたIPCの300IE(Islet Equivalent)相当をSTZ誘導高血糖nude mouseの腎被膜下に移植を行うと血糖降下が得られ、正常血糖へconvertさせることが可能であったが、移植IPC数が150IEでは完全に正常化させることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿い、平成30年度は、新たに確立されたProtocolより得られたIPCsを用いて、in vitroおよびin vivo(マウス同種移植、腎被膜下)による超長期間追跡(100日以上観察、in vivoについてはその後移植腎を摘出し血糖変動を追跡する)を行う。また、並行してヒト由来ASDCを用いて、同protocol(HDACi添加とcompound Xによる3次元培養)を用いた分化誘導実験(in vitro)を行い、cell qualityおよびインスリン分泌能につき検討する。具体的には、それぞれ経時的(Day 1,Day5, Day7, Day 10, Day14, Day17,Day20,Day 23,day 26)でMorphology(Dithizon染色)評価、viability計測(FDA/PI染色)、各種表面マーカー(Insulin、PP、Glucagon、Somatostatin)を用いて細胞特性(monocolonality/polycolmality)検討および糖負荷によって評価を行う。また、各時点におけるmRNA発現 OCT4, NANOG, SOX17, FOXA2, CXCR4, PDX1,NGN3,NKX6-1,PAX4,NEUROD1,INS,GLUT2,MAFAにつき計測しその発現強度につき検討する。また、今後の移植実験に備えて最終産物のmorphology scoreを算出し、定量的に比較検討する。
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