研究課題/領域番号 |
16K10437
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50162160)
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研究分担者 |
丸橋 繁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20362725)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医療の質の評価 / リスクモデル / 消化器外科 / 医療水準評価術式 / 術後合併症 |
研究実績の概要 |
NCDとACS-NSQIPの2011・12年の登録症例より、結腸右半切除術(RHC:米国15,863例、日本34,638例、以下同)低位前方切除術(LAR:7,325例、35,445例)膵頭十二指腸切除術(PD:5,182例、15,527例)の3術式において、術前共通項目を選定し、術後30日死亡のリスクを揃えて死亡率を比較した。 その結果、米国および日本の術後30日死亡率は、RHC(1.88% vs. 0.76%)LAR (1.08% vs. 0.43%)PD(2.57% vs. 1.35%)であった。また、術後入院期間の中央値(IQR)は、RHC[5(4-7)日 vs. 14(10-20)日]、LAR[6(4-8)日vs. 16(12-25)日]、PD[9(7-14)日vs. 31(22-43)日]と、わが国は米国に比し著しく長いことがわかった。 また、年齢構成、BMIの分布も両国では異なっており、RHCを例にとると、70~90歳の高齢・超高齢者はわが国のほうが多いが、年齢を揃えて比較すると、死亡率はわが国のほうが低いことが明らかとなった。BMIの分布をみると、わが国では正常値内が66.0%であるが、米国では肥満の群が最も多く34.5%に達した。そこで、BMIを揃えて死亡率を比較したが、やはりわが国のほうが死亡率は低かった。他の2術式においても同様の傾向が見られた。 両国において別個に構築した3術式のリスクモデルは、C統計量は0.719~0.857、Hosmer-Lemeshow chi-squareは有意差を示さなかったが、モデルを交換し評価すると、それぞれのC統計量はいずれも低下し、6モデル中5モデルでHosmer-Lemeshow chi-squareに有意差が認められた。これらのことから、術式の死亡予測リスクモデルはそれを形成する集団により異なることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
8術式のうち、選択した3術式において、日米両国でそれぞれ構築したリスクモデルを交換し、他国の死亡率をどれほど予測出来るかを検討したところ、全ての術式で、リスクは評価できるが死亡率までの予測は困難であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
研究の中に、死亡予測、合併症予測、さらに合併症が死亡に及ぼす影響を検討することを予定していた。今後、データのinterrater reliability (評定者間信頼性) を検証した後、患者の術前・術後合併症が死亡に及ぼす影響について、両国間で比較検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ACS-NSQIPとの国際共同研究にあたっては、Web会議システムを多用することで、現地で実際に顔を合わせての詳細な打ち合わせを最低限の日数にとどめたこと、海外出張にあたっては経済的な交通チケットの購入に努めたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
統計ソフトや関連する消耗品の購入など、次年度以降の研究の充実のために使用する。
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