研究実績の概要 |
これまで、NCDとACS-NSQIPによる外科医療の質の国際比較を継続しておこなってきたが、2019年度は2020年1月22日-24日の3日間にわたり、ACSのシカゴ事務局を訪問し、以下の内容ついて討議した。 ①肝切除及び膵頭十二指腸切除術における術前・術後合併症と術後死亡との関連について:NCDおよびNSQIPの臨床登録データから、2015年に施行された肝切除、NCD 6,474例、NSQIP 1,699例を、また、膵頭十二指腸切除術に関しては、NCD 9,177例、NSQIP 4,946例を対象とし、各因子と術後30日死亡との関連性を比較検討した。 多くの術前・術後因子と術後30日死亡との関連の強さは両国間で同等であった。また、2術式において死亡率との関連が強かったのは術後合併症でありこの傾向は社会背景の異なる米国と日本でも同様であることが明らかになった。 ②NSQIPのrisk calculator の妥当性の日米比較:低位前方切除術についてのcross-national validation studyをおこなった。モデルをそのまま当てはめた場合には、NCDのイベント発生率をうまく予測できなかったが、観察された平均発生率と予測された平均リスクのオッズ比の自然対数を元モデルの切片に追加することにより予測能は改善した。今後、他の術式についても検討を加えていく。 ③a)高齢者手術に対する最適資源、b)データベースの質を担保するオーディットのあり方、c)外科手術の質と安全を担保するための最適資源についても両国比較をおこない今後の課題を抽出した。
|