研究課題/領域番号 |
16K10440
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
河地 茂行 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80234079)
|
研究分担者 |
岩本 整 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00338831)
佐野 達 東京医科大学, 医学部, 助教 (00646870)
富田 晃一 東京医科大学, 医学部, 助教 (10647267)
片柳 創 東京医科大学, 医学部, 講師 (90317850)
千葉 斉一 東京医科大学, 医学部, 講師 (90348665)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 高齢者 / 健康状態評価基準 / サルコペニア / InBody770 / CAVI / SF-8 / 手術適応 |
研究実績の概要 |
本研究は、InBody770、血圧脈波検査(CAVI)、SF-8が高齢者の新たな健康状態評価基準になり得るかを検討する臨床研究である。機器の整備と測定のシステム構築、人的配置・教育を完了したH29年4月より東京医科大学八王子医療センター消化器外科・移植外科への手術目的で入院する65歳以上の患者すべてに3つの検査を行なった。372例の高齢患者に対して本検査を施行した。InBody770の指標としては骨格筋量指標(SMI)を採用し、男性7.0kg/m2、女性5.7kg/m2未満を異常値(サルコペニア)とした。CAVIについては、9.0以上を異常値(動脈硬化+) とした。SF-8を用いた健康関連QOL評価においては、Physical Component Summary (PCS)とMental Component Summary (MCS)について各々男女別に健常人の 25percentileをcut off値とした。 40.1%の高齢患者にサルコペニアを認めた。サルコペニアの頻度については年齢との明らかな相関は認めなかった。CAVIについては57.8%の高齢患者で異常値と なった。SF-8の結果では、高齢患者の30.4%でPCSが、47.2%でMCSが異常となった。これらの各因子間に相関は認めなかった。術後合併症について、Clavien-Dindo Ⅲa以上を認めた症例は34例(11.8%)であった。SMI値のみが、単独で合併症との相関を認めた(p=0.007)。一方、各検査を組み合わせて検討すると、SMI or SF-8の異常と合併症との間に相関を認め、陰性的中率が93.2%と高く、リスクの低い症例を抽出することが可能であった。SMI and CAVIの異常も合併症発症と相関を認め、OR 3.66 (1.53-8.78 95%CI)でハイリスク症例の抽出に寄与すると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多数の症例のデータが蓄積しているが、InBody770、SF-8のデータ取得についてはシステマチックに行われていたが、CAVIの測定については当科医局員のマンパワーに頼っていた部分があり、3つすべてのデータが揃わない事例が時々みられるようになった。従って、データが整った患者数が当初の予定より少なくなっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
データ収集については、H31年3月までで一旦終了し、データ解析をさらに詳細に施行する。特に、すべてのデータを使った解析だけでなく、疾患部位別の解析、悪性疾患に限定した解析、他のリスク因子(年齢や性別、栄養指標、手術因子など)と組み合わせた解析などを行い、従来の検査だけでは抽出できなかったハイリスクの患者の抽出に繋げられないか検討していく。2019年度の日本外科学会では現在まで解析できた結果を発表した。さらに肝胆膵外科学会や日本消化器外科学会などで発表していくとともに、論文作成に着手する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現時点の解析では期待された結果が得られた部分とそうでない部分があり、より時間をかけた解析が必要と考えられ、補助事業期間の延長を申請したことにより次年度使用額が生じた。蓄積したデータ解析および学会発表経費・旅費、論文作成経費として使用する予定です。
|