研究課題
本研究(「劇症肝不全への自己肝温存同所性部分肝移植での肝細胞テロメア長による肝機能回復予測」)は、自己温存肝細胞のテロメア長を組織Q-FISH 法、テロメラーゼ活性をリアルタイムPCR 法により測定し、定量的指標により、自己温存グラフトの予後予測を行い、免疫抑制剤からの離脱が可能であり、劇症肝不全に対して理想的治療と考えられる自己肝温存同所性部分肝移植(APOLT)を効率よく施行可能とすることを目的とする。研究期間内に“劇症肝不全に対するAPOLTにおいて、自己温存グラフトの肝細胞テロメア長測定が、機能回復予測の定量的指標になり得るのか?”、“APOLT移植後の自己温存肝とグラフト肝の加齢変化”の2点を解明する予定としている。本研究の3年目となる平成29年は、検体の収集と連携施設との研究進行のシステム構築を主に行った。しかし、King's college hospital のあるUKからの人体検体郵送Regulationの追加手続き、少なくとも3施設間でのMATERIAL TRANSFER AGREEMENTが必要であることが判明したため、その手続き書類を作成、ようやく終了した状況である。尚、研究対象症例数は、更に増加しており、検体の確保は終了している。また、関連研究として”膵・胆管合流異常症での胆嚢粘膜Telomere長測定”を行い、正常、胆嚢炎症例に比し、膵・胆管合流異常症ではTelomere長が短縮することが判明し、論文発表を行った(”Telomere length of gallbladder epithelium is shortened in patients with congenital biliary dilatation: measurement by quantitative fluorescence in situ hybridization.”J Gastroenterol. 2018 53(2):291-301.)。次年度から、本格的なTelomere lengthの測定と解析、論文作成を行う方針である。
4: 遅れている
検体の集積、保存をKing's college hospitalでの検体郵送準備は完了していたが、実際の検体郵送に際して、UKでの手続き追加の必要性、少なくとも3施設間でのMATERIAL TRANSFER AGREEMENTが必要であることが判明したため、急遽書類の作成、手続きの追加を要したことが本研究の遅延の原因となった。
連携施設との研究進行のシステム構築がほぼ完成し、データ分析、論文作成の準備、人的補強、検体郵送の手配も完了しているため、次年度からは、急速に研究が進むことが予想される。また、付随する関連論文の作成も行っていく方針である。
全体的な研究進行の遅延により、計画予定額と実際の使用額との間に差額が生じてしまったが、研究最終年度となる次年度には、予定額を使用する計画となっている。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
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巻: 53(2) ページ: 291-301
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