研究課題/領域番号 |
16K10454
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
角田 伸行 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (40542684)
|
研究分担者 |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60378023)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 融合遺伝子 / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
癌幹細胞は分化能と自己複製能を有する細胞である。癌幹細胞を標的にした治療法はいまだ実用化されてない。また融合遺伝子は重要な発癌原因の1つであり、正常組織には存在せず、癌組織にのみ存在しており分子標的治療の標的因子として有用である。 次世代シークエンサーによる融合遺伝子の探索を行なった。その結果、938個の融合遺伝子の候補が同定された。このうちUnique Spanning-Pairsが100以上のものが10個(120から911)、Split-Readsが100以上のものが17個(100から1317)であった。2つの基準を満たす融合遺伝子候補を3つ認め、それぞれのUnique Spanning-PairとSplit-Reads が302と1317、600と132、140と134であった。これら3つの融合遺伝子候補が癌において重要と考えられた。Descriptionとしてkinaseに関連するものを54個認め、testis-specific kinase 2やcasein kinase 2, beta polypeptideが含まれていた。またp21 protein (Cdc42/Rac)-activated kinase 2 pseudogeneであるLOC646214は、多くの遺伝子と融合し複数の融合遺伝子を形成していた。LOC646214のようにgene nameがなく、位置情報のみのものも多く見られ、他の遺伝子やLINC(long intergenic/intervening non-coding RNA)と融合遺伝子を形成していた。さらにいくつかのLINCは、他の遺伝子と融合し複数の融合遺伝子を形成していた。これらはタンパクを合成していないため、従来の抗体医薬では対応できず、核酸医薬の最もよい標的と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
次世代シークエンサーによる融合遺伝子の探索を行ない、938個の融合遺伝子の候補を同定した。融合遺伝子候補の融合部の5’側と3’側のプライマーの設計をおこなったが、発現確認ができていない。遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
癌幹細胞の分離と融合遺伝子の探索:設計をおこなった融合遺伝子候補の融合部の5’側と3’側のプライマーを用いて乳癌細胞株、胆管癌細胞株、大腸癌細胞株での融合遺伝子の発現をRT-PCRにて検討する。乳癌組織からCD44陽性、CD24陰性、lineage marker陰性である癌幹細胞、胆管癌組織からCD45陰性、TER陰性、CD49f陽性、CD29陽性、c-kit陰性、c-Met陽性である癌幹細胞、大腸癌組織からCD133陽性である癌幹細胞をμMACSアイソレーションキットにより回収する。融合遺伝子候補の融合部の5’側と3’側のプライマーを用いて回収した癌幹細胞での融合遺伝子の発現をRT-PCRにて検討する。乳腺、胆管、大腸の正常組織と乳癌、胆管癌、大腸癌の各組織での融合遺伝子の発現を融合遺伝子候補の融合部の5’側と3’側のプライマーを用いてRT-PCRにて比較検討する。 融合遺伝子を標的にしたsiRNAの開発:融合遺伝子の融合部を標的にしたsiRNAを作成する。作成したsiRNAを乳癌、胆管癌、大腸癌の各細胞株に導入し遺伝子発現の抑制効果についてRT-PCR法にて検討する。 癌細胞株を用いた融合遺伝子の機能解析:融合遺伝子を標的にしたsiRNAを乳癌、胆管癌、大腸癌の各細胞株に導入し、増殖能(MTTアッセイ法)、浸潤能(インベーションアッセイ法)、アポトーシス誘導能(TUNEL法)、運動能(スクラッチアッセイ法)を検討する。 新規融合遺伝子の基礎的研究:乳癌、胆管癌、大腸癌の各細胞株への融合遺伝子を標的にしたsiRNAの投与後、DNAアレイ法による網羅的遺伝子解析をおこない、シグナル伝達系について検討する。
|