研究課題
19施設から10540例の乳癌患者の診療データを集積し、診療データと紐付された血液・組織サンプルを4021例分収集した。予後情報の迅速・容易なアップデートを実現すべくWebを介し診療データを集積するシステムを構築した。現在、京都大学医学部附属病院と天理よろづ相談所病院にて試験運用中で、本年中に実運用へ移行する。診療データと紐付けされた血液サンプルから抽出したDNAを用い2004例の乳癌患者の生殖細胞系列の遺伝子変異につき標的遺伝子シークエンスを行った。病的胚細胞変異は105例(5.2%)で認め、最多はBRCA2 62例であり、BRCA1 15例、PALB2 9例、CHEK2 4例、TP53 4例、PTEN 4例と続いた。臨床情報との統合解析の結果、年齢と遺伝子変異に有意な相関を認めた。今後は臨床情報、遺伝子変異情報および健常者データを統合し、日本人女性での病的変異保有リスクや乳癌発症リスクを予測するモデルの構築に取り組む。診療データを用いてHER2陽性乳癌の術前化学療法後の再発リスクを予測するモデルを開発し、論文発表を行った。同データと紐付けされた組織サンプを用いBasalマーカー(EGFR, CK14, CK5/6)発現と予後の相関を示し、論文発表を行った。Webシステムを用いてモデルの予測能を検証する研究を計画している。患者由来ゼノグラフト(PDX)用いて、同一患者由来の乳癌細胞と免疫細胞を有するヒト化PDXモデルを作成し、HER3陽性乳癌に対する抗HER3抗体の抗腫瘍効果を示した。また、腫瘍と脾臓組織中の腫瘍浸潤T細胞におけるCD137発現増強を認め、抗HER3抗体による抗原特異的T細胞活性化が示唆された。本研究により基礎研究データと臨床情報の統合解析が容易となり、個々の症例レベルでの病態・治療効果予測が実現し、治療の適正化や予後改善につながる事が期待される。
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