研究課題/領域番号 |
16K10457
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮崎 安弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00571390)
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研究分担者 |
瀧口 修司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00301268)
黒川 幸典 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10470197)
山崎 誠 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50444518)
高橋 剛 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50452389)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グレリン / 急性低グレリン血漿 / 代償機構 / 選択的グレリン支持療法 |
研究実績の概要 |
これまで当科で施行されたグレリン投与試験患者データについて、グレリン投与患者データベースの作成を開始した。いずれの試験もグレリン投与急性期に施行された研究が多く、複数名の患者が当院での外来からはずれ、他病院でのフォローとなっていた。特に、食道癌患者については、投与後早期から転院になっている患者も多く、現在各病院に問合せつつデータベースの完成を急いでいる段階である。 一方で、治療前患者における胃内グレリンmRNA発現量定量前向き試験については、プロトコルが2016年度中に完成し、現在IRB審査中である。同時に開始した、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術患者における同様の研究プロトコルについてはIRB認可を受け、前向きに穹窿部生検サンプルを6例採取した。次年度においては、前者の癌患者における胃粘膜生検サンプル採取については約50例程度の集積が見込まれ、また後者のスリーブ状胃切除術患者においては残胃におけるグレリン発現量変化の解析が可能である。 動物実験については、2016年度をかけてスリーブ胃切除マウスモデルの作成を行った。手技の定型化が困難であったが、計8匹のマウスにスリーブ切除を施行し、次年度においてはモデルマウスの作成が可能と見込まれる。その段階で、グレリンノックアウトマウスに対してスリーブ状胃切除術を行う予定である。8匹中、3匹のマウスでスリーブ状胃切除術後生存を得られたが、術後2日目まで体重減少を認めたのち、3日目より体重増加に転じ、術後8日目には元の体重に回復した。これらのマウスでは、残胃小弯におけるグレリン発現量が増加しており、通常マウスではグレリン代償機構が存在することが示唆された。今後、グレインノックアウトマウスで同様の体重経過が得られるかを検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、順調に進むと計画されていたグレリン投与患者データベース作成が、患者追跡が必要な為、若干の遅れを生じている。加えて、グレリン依存性評価目的の前向きグレリン発現プロファイル検証試験については、スリーブ状胃切除術については順調にすすみ、プロトコルのIRB通過、症例集積の開始が進んでおり、くわえてデータ解析の一部を見ると、グレリン依存性の一端が推測されるような結果が得られている(残胃小弯にグレリンが再発現する患者群としない患者群が存在する)。しかしながら、担癌患者に対するグレリンプロファイル研究はプロトコルの作成がおくれており、本年ようやくIRB審査に至った。次年度早々にIRB通過予定だが、上記のような経過から、(3)やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においてはグレリン投与患者データベース作成を終了させるべく、医療事務と連携して行っていく予定である。また、担癌患者に対するグレリン依存性研究については、治療前の検体採取が必須であり、外来受診時から入院時、治療に至るまでの間で症例登録漏れがないように現在システム、マニュアルを作成している。これにのっとって、症例集積をできる限り速やかに行うことを予定している。また、動物実験についてはマウススリーブ状胃切除術のモデル作成について、いくつかの論文報告が存在するが、我々の検討方法では術死しやすい傾向があり、グレリンノックアウトマウスを作成する前に、確実に生存、リバウンド可能なモデル手技を確立することを推進方策の中心とする。モデルが作成されれば、動物実験については、ノックアウトマウスの準備購入と実験結果の集積に至ることになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究試薬の見積もりを取ることで研究費の節約を行っており次年度へ予算を回すことが可能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、グレリンの依存性の解析と適応症例の選別、臨床試験に向けた開発研究を行っていく予定である。
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