研究課題/領域番号 |
16K10469
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
遠藤 友美 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20566228)
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研究分担者 |
遠山 竜也 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30315882)
近藤 直人 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90529166)
吉本 信保 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10551244)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 乳癌 / 薬剤抵抗性 / 体細胞変異 |
研究実績の概要 |
タキサン系薬剤は周術期から再発治療に至るまで乳癌治療において重要な役割を担う薬剤であるが、タキサン系薬剤に抵抗性を示す乳癌がしばしば経験され、大きな臨床的課題となっている。本研究では、複数のタキサン系薬剤抵抗性乳癌を対象に全エクソンシーケンス解析を行うことにより、共通する体細胞変異を見出し、その機能解析を通して、タキサン抵抗性メカニズムの解明とその克服を目指すことを目的とした。アンソラサイクリン系薬剤が著効したにもかかわらず、タキサン系薬剤を投与後、腫瘍が著明に増大してしまった6症例の凍結乳癌組織と、そのうち3症例の血液からDNAを抽出した。この計9検体を対象にHiSeq (Illumina)を使用して全エクソンシーケンスを行った。それらの結果から、タキサン抵抗性へ関与が強いと思われる変異に絞り込んだ。その変異の存在する遺伝子の機能解析のため、当院で周術期化学療法にてタキサン系薬剤を使用した乳癌症例を用いて、変異の存在する遺伝子のmRNA発現や蛋白発現と予後との相関を検討した。その解析において、特に重要と考えられたAPOBEC3F、ATP6V1Aについてはさらに症例を増やして、予後との相関の検討、原因変異の頻度検索、蛋白構造解析を行った。その結果、タキサン抵抗性症例において6例に共通する変異を9箇所、5例に共通する変異を16箇所見出した。変異の存在する遺伝子APOBEC3F、 APT6V1AのmRNA発現が高値の症例では、有意に無病生存期間 (DFS)、全生存期間 (OS)が不良であった。これら遺伝子の蛋白発現と予後には有意な相関はなかった。また、2遺伝子に存在する変異を検索したが、175症例にいずれも見いだせなかった。また、タキサン系薬剤を使用していない症例も含めた全症例における解析においても、APT6V1Aが高値の症例では有意にDFSが不良であった。
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