研究課題
大腸癌は抗がん剤治療ではいまだに完治が難しい。このため、大腸癌に対する治療へ多くのアプローチがなされている。本研究は、大腸癌患者検体において癌特異的に高頻度で発現亢進している陽イオントランスポーター(SLC7A1)を標的とした新たな治療法(CAR-T療法)開発を 目的とする.申請者らは大腸癌組織特異的に高発現の遺伝子を探索し,複数の膜遺伝子を特定した.本年度までの研究で,14回膜貫通型の分子SLC7A1が、大腸癌組織にお いて発現頻度・発現レベルとも高いことを確認した,さらにこの遺伝子に対するsiRNA処理により大腸癌細胞株の増殖が阻害されたことを確認し.この膜分子が 癌細胞の増殖に関与していると推測した.一般にSLC7A1のような,多回膜貫通型の分子に対する抗体作成は難しいとされるが、申請者らは抗SLC7A1抗体株細胞 の作成,選抜を行い研究を進めている.本研究によって,既存の治療には抵抗を示している多くの大腸癌もしくは,再発大腸癌に対する新たな治療法開発を可能にすることを目指すこととする。
2: おおむね順調に進展している
一般にSLC7A1のような,多回膜貫通型の分子に対する抗体作成は難しいとされるが、我々は抗SLC7A1抗体株細胞の作成,選抜を行っている.本研究ではま ずSLC7A1のがん増殖における機能を確認,つぎに複数の抗SLC7A1モノクローナル抗体の作成,精製,取得を行った.さらにSLC7A1高発現の細胞を用い取得抗体の 結合性等の性質を評価した.その結果抗体が抗原である膜分子SLC7A1に対し特異性が高くかつ高結合活性を呈することを確認した.一方これらの抗体を用いて 様々な大腸癌細胞に対する結合活性を評価するなど計画どおり研究は進んでいる. 以上から当研究の進展は概ね順調であると考えている.
抗SLC7A1モノクローナル結合活性の評価と,この膜分子の発現動態の解析を進める.取得したモノクローナル抗体を用いて臨床組織検体に対し免疫染色を行うことにより,大腸癌組織においてSLC7A1が特異的な高発現を示すことを確認すると共に,取得抗体によるがん診断,特性の評価への応用性を検証する.さらに取得 抗体を用いた大腸癌株細胞に対する抗体依存性細胞傷害活性を評価し,抗SLC7A1抗体の標的治療薬としての臨床応用可能性を検討する。
研究計画の実施が前後したこと,また,一部の実験・作業を既存機器などを利用して行うことが可能であったために,予定していた一部の機器・試薬類のうち、 購入を先送りしたものがある.またデーター解析について,今年度はアルバイトを雇用することなく研究代表者・分担者にて進めたため,人件費が発生しなかっ たことなどから、次年度使用額が生じた. H31年度はデーターが蓄積し解析のために人員を要することなどから,アルバイトの雇用が必要である.また現存の試薬・器具では不足が生じており,次年度に は新たに実験資材をを購入する予定である.このほか,受託分析などに使用の予定である.なお本研究で得られた研究成果を公表するとともに,関連研究におけ る最新情報を取得するため、学会出席を予定しており出張旅費を計上している.
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すべて 雑誌論文 (23件) (うち国際共著 2件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (94件) (うち国際学会 13件) 備考 (1件)
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