研究課題
HER2過剰発現乳癌は乳癌の15%を占めるサブタイプである。HER2の過剰発現とともに、HER2のスプライスバリアントを発現し、delta-HER2はスプライスバリアントの一つでリンパ節転移や遠隔転移に相関していると考えられている。本研究では、HER2過剰発現乳癌におけるdelta-HER2を発現から転移へ至る分子病態を明らかにすることを目標としている。ヒトのHER2を過剰発現する乳癌組織を用いたdelta-HER2に対する抗体による免疫染色により、delta-HER2タンパク質を発現する細胞が、乳癌組織内に散在してみられることが明らかにした。今回、wt-HER2とdelta-HER2に特異的なオリゴプローブを用いたin situ hybridization法により、ヒト乳癌組織におけるwt-HER2とdelta-HER2 mRNAの発現とその局在について検討した。まず、HEK293細胞とwt-HER2とdelta-HER2を発現するHEK293細胞の3種類の培養細胞を用いて、オリゴプローブが特異的にwt-HER2とdelta-HER2を検出できることを確認した。ヒトの乳癌組織でin situ hyridizationを行った。その結果、wt-HER2のプローブでは腫瘍細胞のほとんどが陽性となった。一方、delta-HER2は、一部の細胞で発現が見られ、しかもその発現レベルは低かった。ヒト乳癌組織におけるdelta-HER2の発現をmRNAレベルで確認することができた。delta-HER2 mRNAの発現と局在の結果は、delta-HER2に対する抗体を用いた免疫染色と一致する結果であった。HER2過剰発現乳癌組織におけるdelta-HER2の発現が、遺伝子レベルでも蛋白レベルでも確認された。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件)
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