研究課題/領域番号 |
16K10481
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
辻本 洋行 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (20521272)
|
研究分担者 |
萩原 明郎 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (90198648)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 再生医学 / 羊膜 / 幹細胞 / コラーゲン / ゼラチン / 足場材料 / 角膜再生 |
研究実績の概要 |
意義と目的:分娩の際の付属物である羊膜は、一方で優れた再生医療材料として近年注目されている。しかし羊膜は感染症や拒絶反応等の問題を有しまた人工的な加工や3次元的使用もできない。そこで我々はH25-27年度科学研究費助成研究において、羊膜の優れた特性を持ち且つ加工性に優れより安全で機能的な再生医療材料を開発しその基礎的検討を行った。本研究はこれを更に発展させ、開発した羊膜模倣再生医療材を実際の臨床にて応用する場合を想定した動物実験モデルにてその効果を検討する。 方法:開発した羊膜模倣再生医療材料(アルカリや酸処理したコラーゲンやゼラチンから成る薄膜やスポンジ材に、羊膜幹細胞の培養上清液(conditioned medium:CM)を含浸)について1)角膜再生モデル:CM含有コラーゲン薄膜上で角膜細胞を培養し、ラット角膜損傷モデルに移植しその再生効果を検討。2)肝再生モデル:CM含有コラーゲンスポンジ材を、ラットの肝損傷部に逢着し、その修復再生度や瘢痕形成度を評価。3)腹膜炎モデル:ラットの盲腸を穿孔後、同部をCM含有ゼラチン薄膜にて被覆、その生命予後や腹膜の再生度、癒着形成度を評価。 結果:前年度のCMに対する評価の検討から、妊娠後期のラットから採取した羊膜幹細胞を培養したものから採取したCMを使用し、対照として未使用の培養液(D-MEM)を用いた。アルカリ処理および酸処理コラーゲンを100:0、75:25、50:50、25:75、0:100の割合で混合した溶液からそれぞれコラーゲンシートを作成した。各シートにCMもしくはD-MEM液を含浸し、その上でラット角膜から採取した培養角膜細胞の増殖性を調べた。結果、CM含浸コラーゲンシートはD-MEMシートに比べて総じて増殖性が良好であった。各混合コラーゲンの中では、酸処理コラーゲンの比率が高いものほど増殖性に優れていることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1) アルカリ処理コラーゲンの入手が困難であった(供給元からの供給が遅れていた) 2)本校動物実験施設における動物実験の使用枠が不足し実施が十分に行えなかった
|
今後の研究の推進方策 |
上述の1)については、まずは培養レベルでの実験を先行し現在も実験の実施中である。また入手が遅れているアルカリ処理コラーゲンについては、間もなく入手可能となり、アルカリ処理および酸処理コラーゲンからなる足場材料による皮膚再生実験を順次行ってゆく予定である。2)についてはゲージ数制限下ではあるが動物実験は実施可能となり実験継続中である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由:現在までの進捗状況の項にも記載したが、1) アルカリ処理コラーゲンの入手が困難であった(供給元からの供給が遅れていた)2)本校動物実験施設における動物実験の使用枠が不足し実施が十分に行えなかった等の理由により、研究の遂行に遅れが生じたために、次年度使用額が生じた。
使用計画:今後の研究の推進方策の項にも記載したが、上述の1)については、まずは培養レベルでの実験を先行し現在も実験の実施中である。また入手が遅れているアルカリ処理コラーゲンについては、間もなく入手可能となり、アルカリ処理および酸処理コラーゲンからなる足場材料による皮膚再生実験を順次行ってゆく予定である。2)についてはゲージ数制限下ではあるが動物実験は実施可能となり実験継続中であり、次年度使用額を用いて実験を遂行してゆく。
|