研究課題/領域番号 |
16K10482
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕子 大阪医科大学, その他部局等, 功労教授 (40148432)
|
研究分担者 |
柴田 雅朗 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (10319543)
Eid NabilA.S. 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50570165)
濱岡 仁美 (黒瀬仁美) 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80545608)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 高転移性乳癌 / exosome / miR27b / VEGF-C / hypoxia |
研究実績の概要 |
高転移性のマウス乳癌細胞(BJMC3879)と低転移性(BJMC338)のMVsには、ともにprecursor VEGF-Cが同程度発現していた。BJMC3879ではVEGF-Cの受容体であるVEGFR3を発現しているため、autocrine的にMVsのVEGF-Cを利用でき、増殖していると考えられた。今回、VEGF-Cを調節するmiRNAに注目した。BJMC3879ではVEGF-Cを抑制的に調節するmiR-27bをMVsにて排出していると想定された。乳癌などの固形癌では、低酸素状態であると想定されている。そこで、normo.とhypo.で細胞内およびMVsに内包されるVEGF-C, miR-27bを比較検討した。normo. でVEGF-C の発現はBJMC3879において、細胞内、MVsともに高かった。Hypo.でBJMC3879の細胞内VEGF-C発現はnormo.とほとんど変わらなかった。BJMC338では細胞内の成熟型VEGF-C発現は低く、MVs内のprecursor VEGF-Cも低かったが、hypo.では成熟型VEGF-Cが減少していた。MVsにおける発現はBJMC3879と同程度に認められた。miR-27bの発現はBJMC338ではhypo.で細胞内の発現量が有意に増加するが、BJMC3879では差がなかった。一方、MVs内のmiR-27bの発現は両者でnormo.と比較して有意に増加おり、BJMC3879で高かった。しかし、BJMC338ではnormo.と比較して増加率はBJMC3879よりも大きかった。HIF-1αの発現を検討すると、BJMC3879ではhypo.で増強していた。また、VEGFR3の発現もhypo.で増強していた。以上の結果は「高転移性のマウス乳癌細胞ではVEGF-Cを抑制的に調節するmiR-27bをMVsにて排出している」と言う想定を支持し、miR-27b排出による抑制の減少、HIF-1αによるVEGF-Cの発現誘導により、VEGF-Cの発現が増強、さらにautocrineによるMVs内VEGF-Cの利用と相まって、hypoxia下でも増殖、転移していると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
miR-27bとVEGF-C発現の変化が一致していたので,仮定は正しく研究は進んでいると言えるが、miR27bの遺伝子導入ができていないから。
|
今後の研究の推進方策 |
1)2種類の乳癌細胞にmiR-27bをnormoxiaとhypoxiaで過剰発現させ、Western blot にてVEGF-Cの発現変化を検討する 2)VEGF-Cの系が細胞に変化を及ぼしているか、Akt, phosphoAktの発現を確認する 3)HIF-1αによるVEGF-C誘導とmiR-27bの関与を検討する 4)移植腫瘍におけるmiR-27bの発現を移植腫瘍のパラフィン切片よりRNAを抽出して、RT-PCRを行い、in vivoでの発現を確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
設備備品として申請したネッパジーンのスーパーエレクトポレーションNEPA21, typeIIは2,000,000円と高額で購入できなかったので、他の方法を選択しているため。導入薬で行っている。導入する遺伝子が増えたことも理由のひとつとなっている。
|