研究課題/領域番号 |
16K10483
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
吉田 崇 関西医科大学, 医学部, 助教 (00714966)
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研究分担者 |
松田 公志 関西医科大学, 医学部, 教授 (20192338)
田中 進 関西医科大学, 医学部, 講師 (30399472)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 副腎皮質 / 自家移植 / 再生 |
研究実績の概要 |
平成28年度計画 検討1) 副腎皮質自家移植片の再生過程において、これまで副腎で確認されていない遺伝子の発現を同定した。現在、in situ hybridizationを用いて同遺伝子の経時的変化を詳細に調査検討しているところである。このタンパクが副腎皮質自家移植片再生の鍵を握っている可能性があると考えている。 検討2)至適自家移植部位の同定:副腎皮質を腹直筋と大腿二頭筋内にそれぞれ自家移植した結果、種々のタンパクの遺伝子発現の有意な差は得られなかったが、大腿二頭筋内に移植したほうが移植片のサイズ、被膜形成状態が良好であり再生状態が良い印象を受けた。組織酸素分圧測定の結果、大腿二頭筋の方が高値であった。げっ歯類においては、腹直筋よりも大腿二頭筋が発達しているため、後者の方が組織酸素分圧が高く、良好な移植片の環境を作り出している可能性が考えられた。 平成29年度以後の計画 検討3)、4)大腿二頭筋内に副腎皮質を自家移植し、指用ターニケットカフを用い駆血による低酸素刺激を与え、RT-PCRによりmRNA発現量を検討したところ、一部の遺伝子で有意差を認めた。しかしながら、ELISA法により血中コルチコステロン値を測定したところ、非駆血群との間で術後コルチコステロンの回復に有意差を認めなかった。ACTH刺激についても同様に実施している。ACTH投与により、一部の遺伝子発現の逆転現象を認めており、再生への影響を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度だけでなく、平成29年度以後の計画についても同時進行で実施、成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で記載しているように、副腎皮質自家移植片の再生過程において、これまで副腎で同定されていない遺伝子の発現を同定した。今後、同遺伝子の経時的変化を詳細に調査検討し、副腎皮質再生への関与の有無を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に購入予定としていた組織酸素分圧測定装置について、当初予定していたlicox JBoxではプローブ先端で組織酸素分圧測定が出来ず、移植片組織へ深く刺入する必要があることが分かった。移植片は直径3㎜程度と小さく、ダメージが大きいと考えられたことから、プローブ先端で測定ができ、より細い形状をしているOxyLite Proを購入使用について検討したが、デモ機を使用し組織酸素分圧測定を実施したところ組織酸素分圧について安定した結果が得られなかった。また、研究概要の業績で記載したように駆血による移植後の血中コルチコステロン値の回復に影響がみられなかったことから組織酸素分圧測定は今後行わない方針となった。このため、平成29年度実施予定の検討課題まで進めて検討する方針になった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、移植片再生のカギを握ると考えられる、副腎で同定された遺伝子の経時的な発現解析などに使用する。
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