研究課題
前年度までの研究成果より計画を再考した。当初の薬剤の効果予測因子となる遺伝子発現解析のために、原発不明がん(CUP)を対象とし、FFPEからDNA抽出を行い、全エクソソーム解析を行った。2019年4月までの2年間に当院でのCUPは41例あり、その中で十分なDNA抽出可能であった11検体にて実施した。それぞれについてリード長150、インサート長160-170のリード数を得た。得られたリードデータについて、BWAを用いて、ヒト標準配列を参照配列としてマッピングした。その結果から、Picard, GAKTを用いて変異コールを行い、SNPと短いINDELを検出した。これらについて既知疾患関連変異データベースClinvar に記載の各変異と同じ位置、同じタイプの変異を比較抽出し、更にCLNDNにがんに関連するキーワードを含むエントリと、CLNSIGによるPathogenicまたは、Likely pathogenicの対応付けを行った。がん細胞体細胞変異データベースCosmicとの比較を行い、変異コールの信頼性値、疾患関連性予測プログラムFATHMM による予測スコア等を参照しがん化に関連する体細胞変異の特定を試みた。これらの変異解析とは別に、BWAにより各遺伝子エキソン領域にマップされたリード数を、それぞれのエキソン領域の塩基長で割ることでデプスを評価し、各遺伝子のゲノムDNAの存在量を見積もった。プローブの位置や遺伝子のGC含有量の偏り等により遺伝子ごとにリード数の多寡に偏りがあるが、検体間で比較した場合には特にリード数の少ない遺伝子については組み換え等に起因する遺伝子の欠損、特にリード数の多い遺伝子については遺伝子重複によるコピー数の増加が起きている可能性があった。こうした組み換えが高頻度で起きていると考えられるデプスの偏りの大きい検体と、比較的安定な検体との相違が観測された。
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Breast Cancer
巻: - ページ: -
10.1007/s12282-020-01095-y
腫瘍内科
巻: 23 ページ: 410-419