研究課題/領域番号 |
16K10487
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研究機関 | 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所) |
研究代表者 |
永井 成勲 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 乳腺腫瘍内科, 副部長 (20458277)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 乳癌 / 末梢血循環腫瘍細胞 / 上皮間葉転換 / Liquid biopsy |
研究実績の概要 |
【研究の概要】 がん患者の末梢血循環腫瘍細胞(CTC)を分離しEMTを検証することは、がん患者の予後と治療効果の予測および治療抵抗性のメカニズ ムを知るうえで重要である。現在CTCについてCellSearch systemを用いた解析から、CTC数が乳がんの予後予測に役立つことが報告さ れ、米国FDAが対外診断用医薬品として承認している。しかし、このシステムは上皮細胞接着分子(EpCAM)発現細胞を抗体で分離する ため、EMTを起こしたがん細胞は検出できない。我々はClearCell CX systemを用いて、サイズ分画によるCTC測定およびEMT解析につ いて研究を計画した。本研究では、まず同一検体を用いて本システムで分離したCTC数をCellSearch systemと比較し、CTCの回収効率 を確認する。次に、分離した細胞を用いてEMT関連遺伝子の発現解析法を確立する。 【研究の経過】 乳がん患者21名から末梢血を供与いただき、ClearCell CXを用いて、CTCを回収し、19名分が解析できた免疫染色法で解析した。その うち8名については、同時にCellSearch systemによる解析も行い、比較した。19名中、血行性転移を認めない患者1名を除き、3-156細 胞/2 mlのサイトケラチン陽性・CD45陰性細胞が観察された。さらに、14名については、サイトケラチン陰性・CD45陰性の細胞を1から 27細胞/2 ml検出した。これらが、EMTを生じた乳がん細胞であるか検討の必要がある。一方、CellSearch systemでは、1個/7.5 ml、3 9個/7.5 mlのCTC数が得られたが、他の6名は全て検出されなかった。 サイズの違いによって分画するClearCellの方法がより効率的にCTCを回収できるが、擬陽性の細胞をカウントしている可能性が示唆された。この間に、ClearCellはCXからFX1 systemへと改良され次代の機器に変更された。現在、FX1 systemを使用し再度乳癌患者の末梢血よりCTCを回収し引き続き検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定器械の改良にともない、CTCの回収および解析について新機器であらたに検討を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
現在新機器のvalidationを終え、乳癌患者の治療前後におけるCTCの比較・解析に入っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定器械の変更にともない一時的な研究の停滞を伴ったため、次年度使用額が生じた。 新たにFX1 systemのvalidationおよび本システムを用いて、抗癌剤治療前後におけるCTCの変化について上皮間葉転換を中心に検討を加える。
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