本研究では、根治的食道癌手術おける周術期成績、術後血中サイトカイン、術後呼吸機能、体成分分析、術後QOL調査を前方視的に行い、非開胸手術群と開胸手術とで比較検討した。周術期成績においては、非開胸での食道癌手術は従来の開胸手術にくらべ、手術時間が長くなるものの、術後肺炎の発生率は有意に減少し在院期間の短縮化が認められ、低侵襲手術としてその有用性を直接的に示すことができた。術後血中サイトカインに関しては術後血中サイトカインレベルが非開胸手術群において開胸群と比較して軽減されていることが示され、術前後の呼吸機能の比較において、非開胸手術後の呼吸機能は開胸手術後と比較して保持されることが示された。さらに術後QOLに関しても非開胸手術は開胸手術と比較してより良好なQOLが保持されていることが示された。
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