研究成果の概要 |
・胃癌治療の効果予測や, 胃癌の予後予測を目的として, iPS誘導因子のKLF4および, 血中浮遊癌細胞に着目して研究を行なった. ・胃癌切除組織でのKLF4の発現低下は, 統計学的に有意に予後不良な結果を示した. また胃癌細胞株を用いた研究では, KLFの発現を低下させることにより, 癌細胞の転移能力(浸潤、遊走)が上がる結果を得た。更に切除組織でKLF4発現が亢進している, 胃癌患者血中の浮遊癌細胞を同定に成功し, 元々の胃癌とは異なり, KLF4発現およびE-Cadherin発現が低下している結果を得た. KLF4発現の低下は, 転移能力の獲得と関連があると考えられた.(現在論文準備中)
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胃癌切除組織を用いた解析で, iPS誘導因子のKLF4の胃癌組織での発現低下は, 強力な予後不良因子であった. また, 特殊なチップを用いて, 血中浮遊癌細胞の同定に成功した. 組織ではKLF4発現が低下しているが, 血中の癌細胞ではKLF4および転移能の1つの指標であるE-cadherinの発現の低下を認めた. 以上から胃癌がより予後不良となる転移能を獲得する状態ではKLF4の発現が関わっていることが示唆された. 今後は更にに研究を進め, 胃癌組織および血中浮遊癌細胞での, KLF4発現状況に応じた, 抗がん剤, 分子標的治療薬の効果予測が可能となれば, 新たな胃癌治療のツールとなり得る.
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