• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

消化器癌における制御性B細胞の解析とその制御による新たな癌免疫治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K10498
研究機関鳥取大学

研究代表者

齊藤 博昭  鳥取大学, 医学部, 准教授 (20335532)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード制御性B細胞 / 腫瘍免疫 / 細胞性免疫 / 胃癌 / 大腸癌 / 免疫逃避機構
研究実績の概要

1. これまでの研究で、まず胃癌および大腸癌患者の末梢血中にIL-10を産生する制御性B細胞が健常成人に比べて有意に多く存在することを確認した。さらに根治手術を施行した胃癌および大腸癌患者の末梢血中の制御性B細胞の頻度は根治術後に術前と比較して有意に低下することを確認した。
2. 胃癌および大腸癌患者の末梢血においてCD19+CD24hiCD27+細胞群のなかにIL-10を産生する制御性B細胞が多く含まれていることを確認した。この結果は制御性B細胞の表面抗原マーカーとしてCD19, CD24, CD27が使用可能であることを示した結果である。次に、胃癌および大腸癌患者においてCD19+CD24hiCD27+細胞が末梢血に比較して癌組織中に有意に多く存在することを確認した。
3. 癌組織に存在するCD19+CD24hiCD27+細胞をソーティングし、CD4Tリンパ球と混合培養したところ、CD4Tリンパ球の増殖やIFN-γ産生が有意に抑制された。このことはCD19+CD24hiCD27+細胞が細胞性免疫抑制機能を有することを証明した結果であると考えられる。
4. 胃癌組織においてCD19とIL-10の2重免疫染色を行い、制御性B細胞の頻度と予後が有意に相関する、すなわち制御性B細胞が多く存在する胃癌の予後は、制御性B細胞が少ない胃癌の予後と比較して有意に不良であることを確認した。このことは腫瘍局所に存在する制御性B細胞が、癌の進展に大きく関与していることを示す結果である。以上の結果から、胃癌および大腸癌患者においては、特に癌組織に制御性B細胞が多く存在し、その細胞が癌の進展を促進している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

胃癌及び大腸癌では、これまでの研究は当初の研究計画にしたがい、概ね予定どおり経過していると考えている。一方で食道癌および膵癌においてはまだ検討途中である。これは当初、制御性B細胞の表面メーカーの検索および同定に時間を要したためである。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画どおり、平成30年度は制御性B細胞の網羅的遺伝子解析を行い、制御性B細胞の機能制御が可能な分子やpathwayの検討を行う予定である。また、研究が遅れている食道癌や膵癌においての制御性B細胞の検討もあわせて行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

胃癌や大腸癌での制御性B細胞の検討はほぼ予定どおり進行しているが、一方で当初予定した食道癌や膵癌での検討が未だ検討途中である。このため次年度使用額が発生したものと考えている。次年度はこれらの検討も行う予定であり、その目的に研究費を使用する予定である。

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi