研究課題
分子標的治療の発展と腫瘍免疫学の進歩により開発された免疫チェックポイント阻害薬の台頭により腫瘍免疫抑制を解除することが実際に腫瘍制御へ繋がることが示された。また、その腫瘍内における免疫抑制においても“がん微小環境”の強い関与が示唆されている。 そこで本研究においては“がん微小環境”において中心的な役割を担う癌関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts: CAFs)が腫瘍内免疫抑制へどのように影響を与えているかを解析した。まずCAFs の食道癌における腫瘍免疫抑制効果を検証した。切除標本における CAFs 発現と腫瘍内免疫を解析し、CAFs による免疫抑制メカニズムの解析を行った。In vitroにおいてCAFsが免疫抑制に関与するシグナルを探索し続いて in vivo にて CAFs rich なモデルを用いて腫瘍免疫抑制効果を解析した。食道癌の切除標本では腫瘍内浸潤リンパ球が独立した予後因子となることが示された.またCAFsは腫瘍内のそれらのTILsと強い相関を持ち,CAFsが腫瘍内リンパ球を制御していることを示唆した.In vitroでは,CAFsは高濃度のIL-6を放出することが示され,in vivoにおいてはCAFsがTILsを制御し腫瘍増殖を促していることが解った.即ち腫瘍内でCD8が減少しFoxP3リンパ球が増殖していた.さらに抗IL-6中和抗体を用いた阻害実験においてその腫瘍増殖は抑制されることが示された.以上の結果は、CAFsが腫瘍内リンパ球の浸潤をIL-6を介して制御し、免疫抑制状態を促しているという新しい知見の解明に繋がった。
すべて 2018
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Clinical Cancer Research
巻: 24(19) ページ: 4820-4833
10.1158/1078-0432