研究課題/領域番号 |
16K10501
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 和恵 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70631927)
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研究分担者 |
沖 英次 九州大学, 大学病院, 助教 (70380392)
佐伯 浩司 九州大学, 大学病院, 助教 (80325448)
中島 雄一郎 九州大学, 医学研究院, 助教 (40733564)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食道癌 / がん幹細胞 / CD44v9 |
研究実績の概要 |
本研究では、難治性消化管癌においてがん幹細胞の発現を確認し、化学療法・放射線療法にたいして耐性の要因となりえるがん幹細胞を探索し、治療耐性のメカニズムを明らかにする。そのうえで、薬剤耐性を制御するmicroRNAの働きの検討を行い、幹細胞治療を標的とした新しい分子標的治療の開発を目指す。CD44v9はCD44のスプライシングバリアントの一つで、シスチン輸送体を活性化し、細胞内シスチン濃度を上昇させ抗酸化作用を持つグルタチオン濃度を高めることで、各種抗癌治療、腫瘍の再発および転移に関与している。様々な癌種においてEpithelial Mesenchymal Transition (EMT)と癌幹細胞の関連が報告されている。 食道扁平上皮癌における腫瘍先進部でのCD44v9発現の臨床病理学的意義およびEMTとの関係を明らかにする。 ①腫瘍先進部における形態変化⇒100倍視野で5個以上のtumor buddingを認めるもの②腫瘍先進部におけるE-cadherinの発現⇒腫瘍先進部において正常上皮よりE-cadherinの発現が低下しているものをEMT群とした。 これまでの研究で明らかにしたCD44v9の発現と比較検討したところ、CD44v9はEMT群の腫瘍先進部で発現が高かった。さらに臨床病理学的因子と比較検討したところ腫瘍先進部におけるCD44v9発現は深達度が深く、EMT症例が有意に多かった。さらに、腫瘍先進部におけるCD44v9発現陽性群は有意に予後不良であった。以上から腫瘍先進部のCD44v9発現が、EMTおよび予後不良に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
切除された食道扁平上皮癌(ESCC)症例のパラフィン包埋切片を用いて抗ヒトCD44v9抗体を用いて免疫組織化学染色(IHC)を行った。染色条件の設定を行い、発現することを確認した。転移陽性であったリンパ節もIHCをおこない、腫瘍細胞中のCD44v9発現細胞の割合を以下のScoreを用いて評価した。 食道扁平上皮癌における腫瘍先進部でのCD44v9発現の臨床病理学的意義およびEMTとの関係を明らかにした。 ①腫瘍先進部における形態変化⇒100倍視野で5個以上のtumor buddingを認めるもの②腫瘍先進部におけるE-cadherinの発現⇒腫瘍先進部において正常上皮よりE-cadherinの発現が低下しているものをEMT群とした。 これまでの研究で明らかにしたCD44v9の発現と比較検討したところ、CD44v9はEMT群の腫瘍先進部で発現が高かった。さらに臨床病理学的因子と比較検討したところ腫瘍先進部におけるCD44v9発現は深達度が深く、EMT症例が有意に多かった。さらに、腫瘍先進部におけるCD44v9発現陽性群は有意に予後不良であった。以上から腫瘍先進部のCD44v9発現が、EMTおよび予後不良に関与することが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
食道癌細胞株TE6を用いてCD44v9をノックダウンし、WesternBlot法にてCD44v9、E-cadherin、Vimentin発現を解析し、同時にTGF-βを用いてEMTを誘導し、WBにてCD44v9、E-cadherin、Vimentin発現を解析する。腫瘍浸潤におけるCD44v9がどのように関係しているかを明確にし、がん幹細胞としての役割を明らかにする。
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