研究課題
1.大腸癌細胞株におけるC5aR発現:C5aR抗体を用いてWestern Blot法で大腸癌細胞株におけるC5aRの発現を確認したところ、HCT15、HCT116、colo205でC5aRの発現を認め、DLD7、SW620では発現を認めなかった。2.肝stellate cell (HSC)におけるC5aRの発現:HSC培養細胞であるLi-90、LX2、ヒト線維細胞であるHS68についてC5aR抗体によるwestern blottingでC5aRの発現を検討したところ、LX2においてC5aRの発現を認めた。3.C5aによるHSCの活性化:C5aR発現を有するLX2にrecombinant C5a (rC5a)で刺激したところ、時間依存的にαSMAの発現亢進を認めたことから、C5a-C5aRによりHSCの活性化が起こってることが示唆された。4.大腸癌肝転移症例における活性化HSCの確認:大腸癌肝転移標本からαSMA抗体を用いて免疫染色で活性化HSCを同定したところ、肝転移巣内および周囲にαSMAの発現を認めた。現在複数例の症例で免疫染色を行い、予後との相関、浸潤形式とαSMA発現の相関について統計解析中である。5.HSCが大腸癌に及ぼす影響:growth assay、invasion assayを用いて現在解析中である。
3: やや遅れている
大腸癌細胞株におけるC5aR発現、肝stellate cell (HSC)におけるC5aRの発現の確認に時間を要したため。
1.肝癌組織からcancer associated fibroblast(CAF)を樹立する。申請者らは以前、胃癌組織23例からGentle MACS Dissociatorを用いてCAFの樹立に成功した。同手法を用いて大腸癌肝転移巣から得た癌組織からCAFを樹立し培養継代する。その後、CAFにおけるC5aRの発現をWestern Blot法、Flow cytometryで確認する。2.C5a刺激を行ったHSC、CAFが大腸癌細胞株に与える影響をgrowth assay、invasion assayを用いて解析する。具体的には、invasion assay kitの下層にHSC+C5aあるいはCAF+C5aをアプライし、上層にC5aRの発現の無い大腸癌細胞株をアプライする。一定時間反応させたのち、チャンバーの下層に浸潤した細胞をカウントする。さらにHSC、CAFをC5aR antagonistまたはC5aR-siRNAによるknockdownすることで肝細胞癌浸潤抑制効果を確認し、C5a-C5aR特異的なcancer-stromal interactionを確認する。3.癌-間質細胞のC5aRを介した浸潤・増殖メカニズムについて解析する。癌間質細胞であるHSC、CAFはC5a-C5aRを介して活性化されサイトカインを分泌することで癌細胞増殖・浸潤を促進させている可能性があるため、サイトカインアレイを用いて検討する。C5aで刺激したHCS、CAFのサイトカインアレイ(SDF-1、HGF、CXCL8, CXCL12等)を行い、産生亢進しているサイトカインを解析する。産生が亢進したそれぞれのサイトカインを特異的に阻害した場合の癌細胞の増殖・浸潤抑制効果についてそれぞれgrowth assay、invasion assayを用いて解析する。
大腸癌細胞株におけるC5aR発現、肝stellate cell (HSC)におけるC5aRの発現の確認に時間を要し、当初計画していた検証まで進めなかった。また、医局内保管の試薬等を使用することが出来たため。
研究費は主に試薬等の消耗品購入費に充てる。また、解析結果の管理、集約や資料整理を行ってもらう事務補佐員の雇用経費に充てたいと考える。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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