研究課題/領域番号 |
16K10505
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
太田 正之 大分大学, 医学部, 准教授 (80271104)
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研究分担者 |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
岩下 幸雄 大分大学, 医学部, 講師 (60534203)
遠藤 裕一 大分大学, 医学部, 助教 (20468010)
高山 洋臣 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50733614)
嵯峨 邦裕 大分大学, 医学部, 医員 (50770145)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肥満外科手術 / メタボリックサージェリー / スリーブ状胃切除術 / スリーブバイパス術 / バイパス手術 |
研究実績の概要 |
【背景】わが国では2014年4月腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を指す、K656-2腹腔鏡下胃縮小術が保険収載されている。しかしながら糖尿病に対する効果はバイパス系手術(メタボリックサージェリー)の方が効果は高いとされている。またわが国では胃癌の問題からRoux-en-Y胃バイパス術は問題視され、2007年にスリーブ状胃切除術に十二指腸-空腸吻合術を加えるスリーブバイパス術が開発されている。2017年に施行された腹腔鏡下肥満外科手術は471例であり、スリーブバイパス術はスリーブ状胃切除術に次ぎ、わが国第二位の術式であった。また2018年1月になりスリーブバイパス術が先進医療Aとして新たに承認されている。 【目的】本研究は、今後わが国においてメタボリックサージェリーとして普及することが予想されるスリーブバイパス術の基礎的研究行うことを目的とする。つまりスリーブ状胃切除術に十二指腸空腸バイパス術を加える意義、つまり十二指腸空腸バイパス術の上乗せ効果を明らかにする。 【方法】スリーブ状胃切除術とスリーブバイパス術のラットモデルを作成し、糖代謝や消化管ホルモン、胆汁酸、腸内細菌叢、視床下部摂食中枢の変化を検討する。 【結果】以前からラットスリーブ状胃切除術モデルは作成しており、作成には問題はなかったが、スリーブバイパス術モデルの手技の安定に予想以上に時間を要した。現在、手技は安定化し、スリーブバイパス術を含め、ラットからデータや試料を蓄積し、解析を行っているところである。減量効果については、スリーブ状胃切除術とスリーブバイパス術でほぼ同等の減量効果が得られている。またOGTTにおいてスリーブ状胃切除術に比較し、スリーブバイパス術はより良好なインスリン分泌や血糖値の改善効果を認めた。また腸管のグルコーストランスポーターのmRNAの発現を見たところ、GLUT1とSGLT-1がスリーブ状胃切除術に比較し、スリーブバイパス術で有意に高発現していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットの供給業者の問題により、ラットの供給業者を変更せざるを得なかった。ラットの変更により、スリーブバイパス術の術死が大幅に増え、手技が安定化しなかった。そのため、さらに供給業者の変更したところ、スリーブバイパス術の術死が減少し、手技の安定化が得られた。その後の1年で実験は順調に進んだものの、当初の予定より進捗状況は遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は3年の研究機関を予定しており、スリーブ状胃切除術に十二指腸空腸バイパス術を加える意義、つまり十二指腸空腸バイパス術の糖代謝や脂質代謝、視床下部摂食中枢に対する上乗せ効果を明らかにすることを目的としている。初年度は予想以上にスリーブバイパス術の手技の安定化に難渋したが、現在は改善されており、昨年度はスリーブバイパス術を含め、ラットからデータや試料を蓄積し、解析を行っている。次年度はスリーブバイパス術の糖代謝の上乗せ効果について論文化を行い、さらに視床下部摂食中枢の変化についても解析を進めていく予定としている。 (次年度の研究費の使用計画) (1)スリーブバイパス術の糖代謝の上乗せ効果について論文化を行う。 (2)視床下部摂食中枢の変化について、特にα-MSH、POMC、MCR-4、NPY、AgRPの発現変化について、スリーブ状胃切除術とスリーブバイパス術の比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より安価に購入出来たので予算があまりました、 来年度の外国語論文の校閲代に繰り越して使用予定です。
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