研究課題/領域番号 |
16K10509
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上之園 芳一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60398279)
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研究分担者 |
有上 貴明 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (40527058)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CTC / 消化器癌 |
研究実績の概要 |
本研究は、消化器癌における循環癌細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)の標的分子発現解析と分子標的治療薬の効果予測および効率的かつ正確な適応患者の選択法の確立を行い外科治療および化学療法を中心とした癌治療の個別化を図ることである。 IsoFlux System(米国Fluxion Biosciences社)は、次世代CTC濃縮システムであり、細胞表面にビーズを結合させ、マイクロ流路の中で均一なフローを形成し、強力なマグネットで、均一なサンプル濃縮をしている。血液サンプルからCTCなど希少細胞(陽性率0.001%以下)をダメージレスな状態で容易に回収することが可能であることが利点である。 胃癌および食道癌、膵臓癌を中心として細胞株によるIsoflux システムによる検出系の確立および従来のCellSearchによる検出系との比較を行い、更に分子標的治療の対象となるHER2、VEGFR-2、PDL-1をはじめとするCTCでの分子発現をタンパクおよび遺伝子レベルで発現を評価する手法を確立させる。それと併せて患者末梢血臨床検体を用いた CTCの標的分子発現解析と分子標的治療薬の効果の評価を予測および効率的かつ正確な適応患者の選択法の確立を行う。 この研究の最終目的は効率的な分子標的薬剤の適応を非侵襲的にCTCによる判別する方法を確立することにある。分子標的薬剤は、有効な治療法のひとつであるにも関わらず、非常に高価であり患者のみならず医療経済的にも大きな負担となってきている。この研究結果により効果的な治療対象となる患者の選択を可能とすることが、患者利益および社会的利益を実現できるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までIsoflux システムでの検出は、予想以上にCellSearchと比較して有用であるという結果が得られていないが、その原因究明を行っているところである。CellSearchに比べて、分離作業までの工程が非常に煩雑であることが、手技の安定化に至っていない原因かと考えるが、これが解決することで理論的には有用性が見いだせることを期待している。PDL-1に関しては、並行して臨床検体を用いて検討を行っており、臨床データと合わせた解析も進行している。CTCのFISHでの評価についても、安定的な評価が可能となってきており、タンパク発現の評価と併せて比較検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続きIsoflux導入に向けた検討を行っていくことを計画しているが、それ以外の新規システムが登場している現状において、その特性も鑑みた方向転換も必要となる可能性も考慮している。いずれにしてもCTCの臨床検体への評価を実現することを目的とする。
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