研究課題
本研究は、消化器癌における循環癌細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)の標的分子発現解析と分子標的治療薬の効果予測および効率的かつ正確な適応患者の選択法の確立を行い外科治療および化学療法を中心とした癌治療の個別化を図ることである。胃癌および食道癌、膵臓癌を中心として細胞株によるIsoflux システムによる検出系の確立および従来のCellSearchによる検出系との比較を行い、更に分子標的治療の対象となるHER2、VEGFR-2、PDL-1をはじめとするCTCでの分子発現をタンパクおよび遺伝子レベルで発現を評価する手法を確立することを目的とした。それと併せて患者末梢血臨床検体を用いた CTCの標的分子発現解析と分子標的治療薬の効果の評価を予測および効率的かつ正確な適応患者の選択法の確立を行うこととした。検証を行う中で、IsoFlux SystemによるCTC検出の優越性が確認できず、CellSearchに比べて分離作業までの工程が非常に煩雑であり、CellSearchで得られる結果を元にCTCにおけるHER2発現による分子標的治療薬の効果の評価を行った。その結果、組織学的にHER2陰性である胃癌患者においてCTCのHER2発現が確認される患者において分子標的治療薬である Trastuzumabが有効であることが確認できた。また、PDL-1について胃癌症例における血液を用いRT-PCR法によりmRNAの評価を行い、CTCにおけるPDL-1発現の評価が、免疫チェックポイント阻害剤の効果予測および適応の選別に有用な可能性があることを確認した。この研究の最終目的であった効率的な分子標的薬剤の適応を非侵襲的にCTCによる判別する方法を確立について有益な知見が得られたものと考えられ、効果的な治療対象となる患者の選択が可能となるかもしれない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Oncotarget
巻: 24 ページ: 22069-22078
10.18632/oncotarget.25179
Cancer Science
巻: 109 ページ: 814-820
10.1111/cas.13508