研究課題/領域番号 |
16K10511
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
河野 浩二 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40283204)
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研究分担者 |
中島 隆宏 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90567447)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 免疫チョックポイント阻害剤 / PD-L1 / IFN-gamma / 消化器癌 |
研究実績の概要 |
【目的】Immune checkpoint阻害療法に期待が高まっており、抗PD1抗体治療の有効例にPD-L1陽性例が多いなどの、PD-L1発現がその効果発現機序に関与している。今回、消化器固形がんにおけるPD-L1の調節機構を明らかにする目的で、IFN-gammaによる誘導、および、Epithelial Mesenchymal Transition(EMT)との関連において、詳細に検討した。 【方法】26種類の消化器系固形癌細胞株を対象とし、MAPK阻害剤, あるいはIFN-gamma存在下で培養し、JAK-STAT、およびERKタンパクをWestern Blotで検討。また、腫瘍抗原特異的CTL cloneを用いて、抗PD1抗体存在下で、Cytotoxic assayを実施。また、EMT関連遺伝子発現を、gene expression analysisでscore化した。 【結果】IFN-gammaは、JAK-STAT系を介してPDL1発現を増強した(26株中、IFN-gammaに不応性の細胞株は2種類のみ)。また、MAPK阻害剤とIFN-gammaの両者の検討では、MAPK系の発現調節の関与はほとんどない。さらに、腫瘍細胞をIFN-gammaで前処置してCytotoxic assayを行うと、CTL作用は大きく抑制されるが、さらに抗PDL1抗体を共添加すると、CTL作用は反対に大きく増強されることが判明した。すなわち、腫瘍―T細胞認識機構においては、PDL1発現が重要なLimiting factorであることが示唆された。また、PD-L1発現は、EMT statusと相関があった。 [結論]①PD-L1発現は、腫瘍―T細胞認識機構における重要なLimiting factorであった。②PD-L1発現は、IFN-gammaとEMTの両者によって発現調節されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね実施計画に従って実施しており、信頼性の高い結果が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
①平成28年度の細胞株を用いたin vitroのデータをさらに確立し、信頼性の高いデータとする。 ②当初の計画どおり、平成29年度以降には、免疫チョックポイント分子の発現、CD3,CD8,CD4リンパ球の浸潤程度を、摘出標本を対象とした免疫染色で検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度以前に購入準備した試薬、Assay系を使用したIn vitro実験のため、実質的な消耗品の購入が必要なかった。 研究成果の発表のための学会等への参加については、別経費を充てた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度繰り越し額と、本年度の予算額を合算して、本年度は消耗品を中心として、使用する予定である。
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