研究課題
【研究目的】年齢と共に増加する発癌リスクの要因としてゲノム損傷の蓄積が考えられます。その契機は遺伝子複製の際の染色体分配です。正常な染色体分配には染色体のセントロメア領域のメチル化が必須です。本研究では、加齢に伴う染色体のメチル化異常に着目し、SatAを介する染色体不安定性の標的染色体からゲノム損傷に関わる標的分子を特定します。それを血中モニタリングすることで発癌リスクを経時的に評価するシステムを構築します。【研究実績】①「Satelliteαtranscript」を介するゲノムのダメージのメカニズムの検証:レンチウイルスを用いて乳腺上皮細胞株にSatAを遺伝子導入しました。染色体不安定性をもたらす有糸分裂異常を免疫細胞化学によって調べたところ、Abnormal segregation、MicronucleiおよびAnaphase bridgeといった有糸分裂異常の頻度はSatAの過剰発現細胞において有意に増加していることを明らかにしました(IJO 2018)。SatAが両側乳癌や他臓器癌合併につながるfield cancerizationに関与するかどうかを調べるために、乳癌患者167人の解析を行いました。その結果、非癌部におけるSatA高発現症例は、低発現症例に比較して22倍の両側乳癌のリスクを持ち、さらに11倍の他臓器癌合併のリスクを持つという結果を導き出すことができました(Oncology reports 2019)。② 微量遺伝子の血中検出と塩基配列解析システムの確立:患者の血漿検体を収集し、デジタルPCRを用いて血中モニタリングを行い、KRAS循環腫瘍DNAの検出の臨床的意義を検討しました。その結果、大腸がん及び膵がん患者において、薬剤の選択の指標、治療効果そして予後因子としての有用性が示されました(Oncotarget 2018、PLOS ONE 2019)
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Clinical Case Reports
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Surgical Case Reports
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Molecular and Clinical Oncology
巻: 10 ページ: 511~515
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