研究課題
本研究の目的は、食道癌に対する全周性の内視鏡粘膜下層剥離術後の狭窄予防用のステントを開発することである。1. まずステントの素材の選定:強度試験の結果、ステントの素材はモノフィラメント(ポリグリコール酸)、太さ3-0の手術用縫合糸モノシティンガーを採用した。2. ステントの編み込み方法を検討:手編みによるステント作成、小型編み機によるステント作成、縫製工場の編み機を用いたステント作成を行い、各製品の曲がり具合や内腔の確保状態を目視等で確認した。その結果、リリアン編み用の小型機械編み機を採用した。3. ステント強度の検討:人工胃液(pH2)、人工腸液(pH7 アミラーゼ入り)に浸し、計測器を用い,変形強度(縦軸:ステントの口径を半分にする力)を測定し、1カ月間の形状維持能を確認した。4. ステントのX線による描出能の確認:水溶性造影剤ウログラフィンの浸透により、単純X線およびCTにて描出可能であることを確認した。5. in vino(マウス腹腔内)にステントを留置した際、その経時的変化の検討:マウス(C57BL 9週齢 オス)の腹部を2cmほど切開し、造影剤浸透ステントを腹腔内に留置した。1週間から2週間をおき、CTを撮影した。ステントは形状を維持したまま、1-2週間観察された。6. 腸管狭窄予防用にステントを留置した際、その腸管内腔確保の程度の検討:クラウンミニ豚の小腸を用いた粘膜除去による消化管狭窄モデルを作成した。同狭窄に対してステントを留置した。狭窄予防効果は4週間後に犠牲死させて同部を肉眼的病理学的に効果判定した。粘膜全周除去による消化管狭窄モデルの検討結果:正常部に比し、粘膜全周剥離部の内腔は狭窄した。一方、粘膜全周剥離+ステント部は内腔が(正常部より大きく)確保された。病理学的にも粘膜は再生され、吸収性素材を用いたステントは狭窄予防に有用と判断された。
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