研究課題/領域番号 |
16K10519
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
名波 竜規 東邦大学, 医学部, 助教 (90385831)
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研究分担者 |
島田 英昭 東邦大学, 医学部, 教授 (20292691)
大嶋 陽幸 東邦大学, 医学部, 助教 (00424705)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | SEREX / RalA / 胃癌 / 血清抗体 / 腫瘍マーカー |
研究実績の概要 |
【背景と目的】保険収載されている胃癌の腫瘍マーカーではCEA、CA19-9、CA72-4 の3種が最も陽性率が高いが進行癌であっても約40%の症例では3 種全てが陰性である。本研究課題であるRalA 分子は、新規の癌抗原であると同時に癌抑制遺伝子の一種でもあることから、発癌の比較的早期の段階から癌患者血清中に抗RalA-IgG 抗体が出現することが報告されている。このため胃癌マーカーすべてが陰性である症例においても血清RalA 抗体が陽性を示す可能性があり、従来の腫瘍マーカーを補完する新規の腫瘍マーカーとしての開発が本研究の目的である。RalA cDNAの塩基配列をアミノ酸配列に変換しその領域を含むペプチドを人工合成した。アミノ末端にビオチンを付加しておき、予めアビジンを固相化したプレートを用いて合成ペプチドを特異的に結合させ、洗浄後に血清抗体と反応させ、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG 抗体を用いて血清抗体レベルを測定した。 【対象と方法】治療前後の胃癌患者血清サンプルを用いてRalA抗体価の解析を進めた。RalA抗体価の臨床病理学的意義を検討した。令和元年度はさらに症例数を増やして、血清RalA抗体の存在の有無をウエスタンブロット法ならびに試作した血清抗体検出ELISAキットにて検討した。血清抗体価と免疫染色との相関関係を解析した。血清RalA抗体検査の臨床病理学的意義、予後、再発、治療感受性予測の検討をした。 【研究成果】RalA抗体陽性症例はステージ別の陽性率には有意差はなかった。5年生存率では、RalA抗体陽性症例で予後不良の傾向を認めたが統計学的有意差ではなかった。従来のCEA+CA19-9による陽性率と比較してRalA抗体を加味することで有意に陽性率が向上した。これらの研究成果をMolecular Clinical Oncologyに投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度には症例数を増やして血清RalA抗体を解析し、その臨床病理学的意義を解析した。以上、研究計画通りに研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度には、切除標本におけるRalA遺伝子発現遺伝子異常の解析を行う。 予後解析をより正確にするため症例数を増やし、フォローアップ期間を延長する必要があると思われる。再発後の治療効果との関連性についても詳細な検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況はおおむね計画通りであったが、想定した陽性率よりも低い傾向があり、その原因を検討中である。そのため、再度標的抗原であるRalAペプチドを精製するために、消耗品費用を次年度に繰り越すこととした。組織アレイによる組織染色については、腫瘍全体での染色パターンを詳細に解析するために、追加解析する予定である。
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