研究課題/領域番号 |
16K10521
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
李 相雄 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40368080)
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研究分担者 |
赤尾 幸博 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 教授 (00222505)
田代 圭太郎 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20645527)
河合 英 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40465604)
内山 和久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80232867)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞外小胞 / 胃癌 / 胃液 / 超遠心法 |
研究実績の概要 |
近年新たなバイオマーカーとして細胞外小胞中の遺伝子産物が期待されている。細胞外小胞は生体において血液、唾液、尿、羊水、腹水等の体液中で観察されている。我々は中でも粘液成分が多く比較的、細胞外小胞の抽出が困難とされる胃液に着目した。本研究では主に胃癌症例の胃液検体を用いて細胞外小胞(Extracellular Vesicles:EVs)の抽出を試みた。胃癌細胞株より超遠心法でEVsを抽出し、EVsの機能をin vitroで検証し、EVs中の遺伝子産物をWestern Blot法で検証した。細胞株を用いたEVs抽出法は、共同研究機関である岐阜大学連合創薬医療情報研究科で指導を得た。胃癌細胞株であるKATO-Ⅲ、MKN45細胞株等 を用いて、Western blottingにてβ-actin、CD9、CD81、Alixなどの各種抗体の発現状況を確認することで、当施設でのEVsを回収する手技を確立した。 一方、in vivoでは胃癌患者の胃液を収集してEVsを抽出した。胃液から超遠心法で回収したPelletから、Western blottingにてTSG、CD9、CD81、CD40、Integrin5αなどのEVsのマーカータンパクの発現を確認し、Nano Sight、透過型・走査型電子顕微鏡にて実際に小胞の存在を確認した。このことから当科で確立した、超遠心法を用いた方法で胃液から細胞外小胞を回収することにある程度成功したと考える。また本研究で確立した回収法で得たEVsからmiRNAを抽出し、バイオアナライザ-でmiRNAが含まれていることを確認した後、RT-PCR法でEVsのICとなるmiRNAを検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胃癌細胞株上清中の細胞外小胞の回収は比較的容易であったが、胃液中の細胞外小胞の抽出には難渋した。しかしながら抽出方法にある工夫を施すことで、細胞外小胞の抽出に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、癌細胞の微小環境に与える変化を検証する目的で、EVsを正常線維芽細胞に加えて変化を確認し、EVsの機能的役割について検討を行っている。また同様に血管内皮細胞を使用して検証する予定である。さらにそれらのEVsを加えた細胞からタンパクを抽出し、変化を検証することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度は当研究室の在庫からmiRNA抽出キットやWestern blottingに使用する薬剤を使用していたが、在庫がなくなったことや現在の研究の状況に応じて使用するキットを変更したことから次年度使用額が生じた。 (使用計画)正常線維芽細胞や血管内皮細胞株の購入等を予定している。
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