胃癌の発癌・進展におけるゲノム安定性と染色体不安定性の意義と腹膜転移の分子機序

2018 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 16K10525
• 研究機関: 国際医療福祉大学
• 研究代表者: 山本 学 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 教授 (30380405)
• 研究分担者: 藤 也寸志 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 院長 (20217459) ; 森田 勝 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 統括診療部長 (30294937) ; 田口 健一 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 臨床検査科医長 (40325527) ; 沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392) ; 河野 浩幸 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70596668)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 胃癌 / マイクロサテライト不安定性胃癌 / ゲノム安定性胃癌 / Epstein-Barr陽性胃癌 / 染色体不安定性胃癌 / 腹膜転移

研究実績の概要

胃癌の分子学的発生機序は4つのタイブに分類されることが近年わかってきたものの、その精細は未だ不明な点が多い。一方、21世紀に入り乳癌はタイプ別の治療が確立しており、 さらに、最近では大腸癌においてもタイプ別の治療が確立されつつある。
本研究は、胃癌の発がんタイプ別の各遺伝子群とマイクロサテライト不安定性に着目し、胃癌のタイプ別治療への発展に役立てることを目的とした。
今回、進行胃癌組織103例を用いて4つのタイプに分類したのち、Epstein-Barr陽性胃癌、マイクロサテライト不安定性胃癌、ゲノム安定性胃癌、染色体不安定性胃癌の特性と予後を検討した。 その結果、病理学的および免疫組織学的手法を用いて4つのタイブ別に分類可能であった。 その頻度は、Epstein-Barr陽性胃癌8.7%、マイクロサテライト不安定性胃癌10.7％、ゲノム安定性胃癌17.5%、染色体不安定性胃癌63.1%であった。マイクロサテライト不安定性胃癌は高齢者に多く、Epstein-Barr陽性胃癌および染色体不安定性胃癌は男性に多かった。また、染色体不安定性胃癌では高頻度にp53異常が認められた。さらに、予後はEpstein-Barr Virus陽性胃癌＞マイクロサテライト不安定性胃癌＞染色体不安定性胃癌＞ゲノム安定性胃癌の順であった。
また、腹膜転移の早期診断のため腹腔鏡システムによるNBIモードを用いて診断したところ、特異性87.5%、感受性88.2%、正診率88.0%と高率であった。精度を上げることで臨床応用に結びつけられると考えられた。さらに、腹膜転移メカニズムの一つにケモカインレセプターであるCXCR4、CXCR7およびそのリガンドであるCXCL12が関与している可能性が示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] Benefits of laparoscopic surgery compared to open standard surgery for gastric carcinoma in elderly patients: propensity score-matching analysis. (2019)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto M, Shimokawa M, KawanonH, Ohta M, Yoshida D, Minami K, Ikebe M, Morita M, Toh Y.
  • 雑誌名: Surg Endosc. 巻: 33 ページ: 510-519
  • DOI: 10.1007/s00464-018-6325-7.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Validation of an assessment tool: Estimation of postoperative overall survival for gastric cancer (2018)
  • 著者名/発表者名: Haga Y, Hata S, Ikejiri K, Ikenaga M, Yamamoto K, Doi K, Tsuburaya A, Hirata T, Yamamoto M, Ishikawa S, Takeuchi H.
  • 雑誌名: Eur J Surg Oncol. 巻: 44 ページ: 515-523
  • DOI: 10.1016/j.ejso.2018.01.002.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Lon-term outcome of definitive chemoradiotherapy and indction chemoradiotherapy followed by surgery for T4 esophageal cancer with tracheobronchial invasion. (2018)
  • 著者名/発表者名: Yamaguchi S, Morita M, Yamamoto M, Egashira A, Kawano H, Kinjo N, Tsujita E, Minami K, Ikebe M, Ikeda Y, Kuninaka N, Toh Y.
  • 雑誌名: Ann Surg Oncol. 巻: 25 ページ: 3280-3287
  • DOI: 10.1245/s10434-018-6656-6.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Mucoepidermoid carcinoma of the anal canal. A case report and review. (2018)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto M, Hirata K, Tsuneyoshi M, Yoshida Y, Matsuda H, Gion T, Tominaga Y.
  • 雑誌名: Mol and Clin Oncol. 巻: 9 ページ: 504-506
  • DOI: 10.3892/mco.2018.1706.
  • 査読あり
• [学会発表] 胃癌・大腸癌におけるRamucirumab療法の有用性と安全性に関する検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 山本 学、吉田佳弘、祇園智信、冨永洋平
  • 学会等名: 第16回日本臨床腫瘍学会学術集会
• [学会発表] 胃癌に対する腹腔鏡手術は、開腹手術に比べ安全で根治性が向上するか？ (2018)
  • 著者名/発表者名: 山本 学、祇園智信、太田光彦、森田 勝、藤 也寸志
  • 学会等名: 第80回日本臨床外科学会総会
• [学会発表] 腹腔鏡下幽門側胃切除術術後の体重変化と栄養評価 (2018)
  • 著者名/発表者名: 山本 学、吉田佳弘、祇園智信、冨永洋平
  • 学会等名: 第90回日本胃癌学会総会
• [学会発表] Distant metastasis of adenocarcinoma of the esophagogastric junction (2018)
  • 著者名/発表者名: 今村裕、間端輔、山下公太郎、岡村明彦、湯田国美、速水克、峯真司、吉田直矢、佐伯浩司、沖英次、山本学、森田勝、比企直樹、齋浦明夫、前原喜彦、馬場秀夫、佐野武、渡邊雅之
  • 学会等名: 第118回日本外科学会