研究課題/領域番号 |
16K10527
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
坂本 義之 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (60361010)
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研究分担者 |
工藤 大輔 弘前大学, 医学研究科, 講師 (00587024)
袴田 健一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30271802)
諸橋 一 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30598628)
三浦 卓也 弘前大学, 医学研究科, 助教 (30722136)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒアルロン酸合成阻害 / 新規抗がん剤 |
研究実績の概要 |
大腸癌に対する新規抗癌剤並びに新たな分子標的薬の開発はこの10年間ない。一層の治療成績の向上には新たな作用機序を有する新規薬剤の開発が待たれる4-methylumbelliferone(MU)は、線維芽細胞においてヒアルロン酸(HA)合成を抑制することが知られていたが、その後KudoらはHA合成抑制を介して抗腫瘍効果があることを報告した。この作用機序はこれまでの抗癌剤にはない作用点であり、新たな抗癌剤として有望視される。MUは国内外で利胆剤として長期に使用され、安全性が確立されている。腫瘍内でHAの増加が証明されている大腸癌では、MUによる大きな抗腫瘍効果が期待されるため、臨床応用に向けて研究を進めている。 本研究はHA合成阻害剤の新たな抗癌作用に着目した独創的な研究であり、他に類を見ない。我々はMUのHA合成阻害効果と抗癌作用については既に膵癌細胞(KP1-NL)を用いて報告済みであり、悪性化と共にHAを大量に産生することが知られている大腸癌に関しても十分効果が期待される。新規機序による抗癌剤開発は、増加する大腸癌患者に朗報をもたらすと考えられる。 研究計画では、MUが大腸癌に対してヒアルロン酸合成阻害効果をどの程度有するかについてin vitroとin vivoで確認する。次にそれらのHA合成阻害効果が大腸癌の浸潤を抑制することを確認する。以上の実験結果をふまえて、ヌードマウスの皮下に大腸癌細胞を移植して大腸癌腫瘍結節を形成させ、MU投与による大腸癌腫瘍中におけるHA合成阻害効果、腫瘍増大阻害効果を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、実験にはSW480、HCT116という2つの大腸癌細胞株を使用し、細胞を接着させるためのさまざまな条件を検討中である。細胞接着に一番適した条件下で、細胞に異なる濃度のMUを散布し、細胞増殖活性を測定予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大腸癌細胞株でMUによる細胞増殖の抑制が確認されたら、ヌードマウスの背部皮下に大腸癌細胞を移植し、そのマウスに連日MUを投与する。投与期間中のマウスの体重や腫瘍の体積を測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の遅れにより、予定の消耗品を購入しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の実験用消耗品、細胞購入費として使用する。
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