研究課題/領域番号 |
16K10533
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
廣 純一郎 三重大学, 医学系研究科, 助教 (70444437)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00422824)
井上 靖浩 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20324535)
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50192026)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大腸癌 / マイクロサテライト不安定性 / 腫瘍浸潤Tリンパ球 / PD-L1 |
研究実績の概要 |
マイクロサテライト不安定性(MSI)が高い大腸癌などは体細胞変異が多いため、免疫原性が高く、腫瘍内への免疫細胞浸潤が多くなり、PD-1/PD-L1経路阻害薬が有望であることが考えられている。すなわち、変異が多い癌種は必然的に新規の変異抗原も多く、その変異抗原を特異的に認識するT細胞も数多く存在すると同時にPD-1/PD-L1経路を介した免疫抑制が生じていることが想定され、PD-1/PD-L1経路阻害薬が有望であることが考えられる。Leらによると(ASCO2015)、ミスマッチ修復(MMR)遺伝子欠損大腸癌の抗PD-1抗体の奏効率、疾患制御率は、MMR遺伝子正常大腸癌に比べともに高いことが示されている。そこで、本研究の目的は大腸癌における抗PD-1/PD-L1抗体の治療効果ならびに治療効果予測に関して基礎的、臨床的検証行うことである。そこで我々はこれまでに当院で外科的根治切除を施行した大腸癌摘出標本157例を用いて、Capillary sequencerを用いてMSI assayを行い、MSI statusを確認のうえ、癌組織免疫応答に関わる癌組織浸潤性リンパ球(PD1+Tリンパ球、CD8+細胞障害性Tリンパ球及びFOXP3+制御性Tリンパ球)ならびに宿主免疫能の指標である血中総リンパ球数、好中球/リンパ球比、血小板/リンパ球比およびアルブミン/グロブリン比の関連を検討した。MSIを9例に認め、病理組織として未分化型との相関を認めた。またFoxp3陽性T細胞はMSI大腸癌組織に多く浸潤している傾向を認め、腫瘍浸潤CD8T細胞はMSI大腸癌に有意に多く認めた。現在、PD-L1の大腸癌組織における免疫染色を同一コホートを用いて解析を進めており、今後は、PD-L1発現が、MSI statusや、TIL、ならびに全身性炎症反応との相関について、検討を行っていく予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプルからのDNA抽出とそのマイクロサテライト不安定性検査を行う条件設定を行うのにやや時間を要した。またさまざまな蛋白を標的とした免疫染色における至適条件設定もやや時間を要しているが、現在も鋭意遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床サンプルの検討では、PD-L1発現のバイオマーカーとしての意義と臨床病理学的因子との相関、ならびにMSIやTILさらには全身性炎症反応との相関について、検討を加える予定である。また並行して必要に応じて適宜in vivo実験を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
FFPEからのDNA抽出や、免疫染色などに時間を要したため、やや実験計画行程に遅れが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後のPD-L1などのさらなる免疫染色検査の追加や、in vitro, in vivoなどに使用する消耗品などへの使用
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