研究課題
基盤研究(C)
マウスモデルにおいて、大腸癌細胞のSMAD4を発現抑制するとCCL15が発現誘導され肺転移巣周囲にCCR1陽性骨髄球が集簇して肺転移が促進された。臨床検体をもちいた検討では、CCL15 陽性肺転移巣ではCCR1 陽性骨髄球が多く集簇し、無病生存期間の増悪に関連していた。マウスモデルにおいて、間葉系幹細胞から分泌されたCCL3/CCL4/CCL5は大腸癌細胞に発現しているCCR5を介して腫瘍増殖が促進された。臨床検体をもちいた検討では、大腸癌原発巣でのCCR5高発現は予後不良であり、とくにStage III/IV症例ではその傾向が著明であった。
小腸大腸肛門外科学
大腸癌肺転移では、SMAD4の欠損によりCCL15の発現が誘導されCCR1陽性好中球が転移巣周囲に集積し、肺転移が促進されることが示唆された。肺転移巣周囲に集積するCCR1陽性好中球は大腸癌肺転移にたいする新規の治療ターゲットとなり得る。CCR5発現は病期の進んだ大腸癌症例において予後不良因子であり、またそのリガンドであるCCL3,CCL4の血清高値は予後不良のバイオマーカーになりえる。大腸癌においてCCR5が新たな治療ターゲットとなり得る可能性が示唆された。