直腸癌術後の排尿機能、性機能、排便機能に関して、多施設共同研究を実施し、100例を超えるアンケート調査の結果を、集計した。これまで短期間の成績しか報告されてきていなかったが、2年間というこれまでにない長期のデータを解析することで、直腸癌の治療戦略の決定に寄与することが期待される。アンケートは術前から前向きに行っており、術後の変化を経時的に評価を行った。2018年の日本外科学会で、排尿機能及び排便機能の報告を行い、2019年外科学会で性機能の報告を行い、現在論文作成を行っている。 また、直腸癌の予後に関しては、局所再発の因子に関して解析を行い、韓国との国際共同研究として研究結果を報告した。下部直腸癌のみに限定した解析を行い、局所再発予測モデルを作成した。この局所再発予測モデルを用いて、別集団によるvalidationを行い、予測モデルの有用性を示し、論文報告を行った。 大腸癌の多施設共同データベースに関しては、九つの施設と共同して、共通のデータベースを使用して、統合データを作成した。3年間のデータ統合を行い、2800例の大腸癌の臨床データを集計、データクリーニングを行った。データベースの効率化をはかるため、REDCapを利用したWEBデータベースを構築し、匿名化データのクラウド管理を開始した。1年間で約1000例のデータ集積を行い、現在追跡を行っている。 骨盤のMRIに関してはその診断能に関してシステマティックレビューを行い、感度と特異度の関係について考察を行った。解剖に関しては、直腸癌症例の画像データや解剖データを利用して筋肉の3次元構築を行い、複雑な構造を可視化できるようなシステムを考案、現在論文投稿を行っている。 またそのほか大腸癌に関して、化学療法の副作用軽減に関して牛車腎気丸の有用性についてレビューを報告し、ステージ別のサーベイランスの有用性に関しても報告を行った。
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